ユニチカは8月19日、環境意識の高まりを背景に、サステナブルな社会の実現に向け、樹脂事業において3つのバイオマス原料を使用した樹脂を提案すると発表した。1つ目はトウゴマから作られた植物由来のスーパーエンプラである「XecoT(ゼコット)」、2つ目はトウモロコシなどの植物資源からつくられた「テラマック」、3つ目は捨てるはずの卵の殻を再利用した「カラクル」。同社は、植物や卵殻などのバイオマス原料を利用して資源を循環させることで、環境に貢献するとしている。
「XecoT」は、バイオマス度50%以上のナイロン10T樹脂(PA10T)で、非可食で再生可能なバイオマス原料であるトウゴマから作られている。「XecoT」は、熱可塑性耐熱ポリアミドの中においては、耐熱性、結晶性、低吸水性、耐薬品性、耐摩耗性、電気特性、高品質のいずれをとっても世界最高レベルの性能を有するため、各種電気・電子部品、自動車用部品、耐熱フィルム、耐熱繊維等への幅広い用途展開が期待できる。また、バイオマス由来であることから、石油由来であるナイロン6(PA6)やナイロン66(PA66)に比べCO2排出量もはるかに小さい数値であり、同社は、地球温暖化や石油資源枯渇といった問題を解決する一助になるとしている。
「テラマック」(ポリ乳酸)は、飼料用のトウモロコシやサトウキビなどの植物資源から作られた、画期的な植物由来の生分解性樹脂となっている。近年のプラスチック廃棄物問題の中で、コンポスト化などによる再資源化が可能な生分解性プラスチックが注目されている。なかでも再生可能な植物資源から誘導されるポリ乳酸は、すでに従来の石油系プラスチックの一部を置き換えている。
「カラクル」は、「もったいない!」との思いから開発された卵殻添加のバイオマス素材となる。卵は日常食している食べ物であり、様々な料理に使用されているが、食品加工工場・割卵業社等から年間約20万tの殻が動物性残渣産業廃棄物として発生しており、約80%が焼却や埋め立て処分されている。カラクルは廃棄される卵の殻を再利用することで、廃棄物削減やCO2低減を行える、画期的なバイオマス素材となっている。