三井化学は8月26日、同社連結子会社のMitsui Phenols Singapore(MPS)の全株式を、2023年3月にINEOS Holdings Limited(INEOS社)に譲渡することで合意したと発表した。
MPSは1999年の設立以来、シンガポールでフェノール事業(フェノール、アセトン、ビスフェノールA、α―メチルスチレン)を展開している。
同社は長期経営計画「VISION 2030」において、フェノール事業をベーシック&グリーン・マテリアルズ事業領域での再構築対象の一つと位置付け、ライトアセット化を方策の一つとして収益変動の低減を目指している。MPSの運営については、他社との協業も含めて検討してきたが、今回、フェノール事業規模で世界大手のINEOS社に対して、MPSの全株式を譲渡することが最善との結論に至った。
同社はMPSの株式をINEOS社に譲渡するが、他拠点(日本・大阪工場、市原工場、中国・上海)については引き続き同社が運営を行い、今後も安定した製品供給を継続する。
また、同社は2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、2022年4月からグリーンケミカル事業推進室を発足させる等、サーキュラーエコノミーへの対応を強化しており、フェノール事業の製品についてもバイオマスナフサを活用したISCC認証製品(現行はフェノール、アセトン、ビスフェノールA、α―メチルスチレンが認証取得済)の拡大を進め、環境対応をさらに強化していく。
同株式譲渡により、MPSは同社の連結の範囲から除外される。なお、同株式譲渡に伴い、同社2023年3月期の連結財務諸表に与える影響については精査中であり、今後開示すべき事項が生じた際には速やかに開示するとしている。