ブリヂストンは8月30日、同社の米州グループ会社であるブリヂストン・アメリカス・インクが、タイヤの原材料となる天然ゴムの持続的な供給に向けて、米国・アリゾナ州に保有するグアユール農園への投資を強化すると発表した。
今回の投資は、グアユール由来の天然ゴムの実用化(2026年)へ向けたもので、同社は2025年までに約4000万米ドル(約50億円)を予定している。また、地域の農家やアメリカ先住民の方々と協力し、最大2万5000エーカー(約100㎢)までの新たな植栽による規模の拡大を図る。さらに、2030年へ向けては本格的な生産・事業化を目指し、バイオ技術を活用したグアユールの栽培・グアユール由来のゴムの生産拡大への計画検討を進めている。
グアユールは、米国南西部からメキシコ北部に広がる砂漠に自生する干ばつ耐性が高い低木で、従来型の農機を使いコスト効率よく栽培することができる。綿などの植物に対しては、およそ半分の水で栽培することが可能となる。グアユールを多く植栽することで、CO2吸収の増加に貢献するなど、環境負荷の低減に寄与することができる。
同社グループは、2012年にグアユールの研究活動を本格的に開始した後、米国・アリゾナ州に研究施設と281エーカー(約1・1㎢)のグアユール研究農園を設立・運営している。2030年の事業化に向けて、これまでも約130億円以上を投資してきており、グアユール由来の天然ゴムを使用したタイヤの完成(2015年)やゲノム解析による優良種の拡大を推進するなど、着実な成果につなげている。また、米国農務省の国立食品農業研究所によって研究開発支援対象へ採択され(2017年)、米国エネルギー省の共同ゲノム研究所からグアユール収量最適化のための研究助成金を受領(2021年)するなど、多くの政府機関より支援を受けている。