日本ゼオンは8月30日、出光興産・東ソー・トクヤマ・同社の4社が、経済産業省・資源エネルギー庁が公募する「非化石エネルギー等導入促進対策費補助金(コンビナートの水素、燃料アンモニア等供給拠点化に向けた支援事業)」へ「周南コンビナートアンモニア供給拠点整備基本検討事業」を共同提案し、補助事業者に採択されたと発表した。
同事業では、2030年までに周南コンビナートにおける年間100万t超のカーボンフリーアンモニア供給体制を確立することを目的に、出光興産徳山事業所の貯蔵施設を周南コンビナートにおけるアンモニアの共通供給拠点として整備し、周南コンビナート各社(需要側)へのアンモニア供給インフラ検討を行う。また、今後4社は同事業をベースとして、実装置でのアンモニア燃焼実証等の様々な取り組みを通し、周南地区における国内初のアンモニアサプライチェーンの構築を推進していく。
周南コンビナートは、化学原材料や化学製品、鉄鋼・セメント・ファインケミカルといった多彩で高付加価値の素材を生産・供給しており、その競争力の維持と発展のためには、生産活動に伴い発生するCO2排出量の抑制が欠かせない。そのような中、周南コンビナートでは周南市の牽引の下、化学工学会と連携した「周南コンビナート脱炭素推進協議会」(周南協議会)が今年1月に設立されるなど、産官学が一体となり、現行の設備・産業インフラ等を最大限に活用することで、2050年のカーボンニュートラルコンビナート(CNK)の実現を目指している。
周南協議会ではこれまでに、周南コンビナートの産業競争力の維持・強化と脱炭素化の両立を目指し、2050年のCNK実現に向けたグランドデザイン、バックキャストによるロードマップの策定、具体策の議論などを進めてきた。CNK実現の具体的方策の一つとして、アンモニアサプライチェーン構築に必要な共用インフラ整備の検討を4社共同で推進する事を今年7月に合意し、同事業の提案に至った。
4社は同事業を通し、周南地区におけるアンモニアサプライチェーンを構築し、脱炭素社会の実現へ貢献していくとしている。