東レは8月30日、食品包装用高ガスバリア性蒸着・二軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルム「トレファン」を開発したと発表した。同フィルムは、一般的なOPPフィルム比3倍以上の高いバリア性を有するため、高いリサイクル適性を備えたポリプロピレン(PP)単一素材構成の高ガスバリア食品包装を可能とし、包装材料の製造・使用・再原料化のリサイクルループを拡大し、CO2削減に貢献する。今後同社は、同社グループのグローバル拠点で生産化検討を進めていく。
食品包装分野では、内容物の長期保存を可能とする高ガスバリア性フィルムの需要が世界的に拡大している。しかし、従来のパッケージは、ガスバリア性を担う蒸着ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムとシーラントの無延伸ポリプロピレン(CPP)フィルムを積層した構成となっていて、使用後のリサイクルが困難であるという課題があった。一方、リサイクルしやすくするために、蒸着PETフィルムをシーラントと同種の材料である蒸着OPPフィルムに代替すると、ガスバリア性や耐熱性が不足し、ボイル・レトルト食品用途などで使用することは困難だった。
今回同社が開発した高ガスバリア性OPPフィルム「トレファン」は、xEVコンデンサ用等で培ったOPPフィルムの構造制御技術に均質バリア層加工技術を組み合わせることで、水蒸気透過率0・3(g/m2/日)、酸素透過率0・3(cc/m2/日)以下とガスバリア性を一般的なOPPフィルム比3倍以上に高めることに成功した。同時に、耐熱性を25℃以上高め、120℃以上の加工温度に対応できるようになったことから、ボイル・レトルト食品包装用途への適用も可能となった。これら特性により、食品包装における蒸着PETフィルムを置き換えることができ、欧州包装関連業界コンソーシアム「CEFLEX」のガイドラインに準拠したPP単一素材構成の高ガスバリア性パッケージとすることができる。
同社グループは今後、フィルム・蒸着一貫加工拠点を活用したグローバル展開を目指していくとしている。