帝人フロンティアは9月12日、人体や環境に影響をおよぼす可能性があるとされるレゾルシン・ホルムアルデヒド(RF)を含まない接着剤を用い、かつ、ゴム補強繊維にケミカルリサイクルポリエステル繊維を使用した環境配慮型のタイヤコードを開発したと発表した。RFフリーの接着剤とケミカルリサイクルポリエステル繊維を組み合わせたタイヤコードの製品化は世界初となる(同社調べ)。
近年の環境や安全に対する意識の高まりから、自動車を構成する重要な部品であるタイヤについても環境に配慮した素材使用のニーズが高まっていた。こうした中、同社は、2008年に当時としては世界初となるケミカルリサイクルポリエステル繊維を使用したタイヤコードを、2020年3月にはRFを使用しない環境配慮型のゴム補強繊維用の接着剤を開発するなど、タイヤをはじめとするゴム製品用途において、環境配慮型素材・製品の開発を進めてきた。同社は今後、タイヤコードをはじめとして、ベルト、ホースなどのゴム製品の補強繊維として幅広く展開を図る。2023年から同タイヤコードの試験生産を開始し、2030年には20万t/年の生産量を目指すとしている。
同社は今回、同社の有するこれらの技術を融合することで、RFフリーの接着剤とケミカルリサイクルポリエステル繊維を組み合わせたタイヤコードを世界で初めて製品化し、タイヤの製造プロセスにおけるさらなる環境負荷低減を実現した。
同タイヤコードは、接着剤にRFの代替として高分子化合物を使用することで、接着加工プロセスにおいて環境負荷低減に貢献する。また、繊維およびゴムとの親和性が良好であることから、従来のレゾルシン・ホルムアルデヒド・ラテックス(RFL)接着剤と同等の接着性能を実現している。また、タイヤコードに使用するケミカルリサイクル繊維は、強度や耐疲労性、寸法安定性および耐熱性などが維持できるケミカルリサイクル法によるポリマーを原料にしており、石油由来のポリエステル繊維タイヤコードと比較して、製造時のCO2排出量を抑えながらも、同等の品質・性能を実現している。