SABICは9月13日、第2世代の自動車用GNSS(全地球衛星測位システム)アンテナにおいて、素材にセラミックスを使用した場合に比べて、優れた信号利得性能を発揮する新しい「LNP THERMOCOMP」コンパウンドを2種類発表した。
新製品の「LNP THERMOCOMP ZKC0CXXD」と「LNP THERMOCOMP ZKC0DXXD」コンパウンドは、より複雑なパターンマーキングをもつアンテナ基板の設計および成形が可能なため、信号捕捉率を高める上で重要な要素であるアンテナの有効表面積を拡大することができる。現在セラミックスを使用しているユーザーは、同コンパウンドに置き換えることで、二次加工の排除によるシステムコストの低減に加え、アンテナ性能の向上が期待できる。
LNP THERMOCOMPコンパウンドは、小型化に必要となる高い誘電率(Dk)および信号取得を促進する低い誘電正接(Df)を提供し、個々のアプリケーションの電気的要件に合わせて調整することができる。また、これらのコンパウンドは電気メッキが可能な上、信頼性の確保に必要な優れた耐熱性、熱可塑性プラスチックのもつ設計自由度と高い生産効率を備えている。どちらのコンパウンドも、シャークフィン(ドルフィン)スタイルや新しいコンフォーマルアンテナの設計に適している。
同コンパウンドは、複雑なパターンマーキングのアンテナ基板を容易に射出成形することができる。複雑形状やくぼみなどの要素は既存部品の有効面積を大幅に増加させることができ、高精度GNSSアンテナに求められる厳しい信号利得に対応できる。さらに、これらのコンパウンドはメッキ加工されたセラミックスと異なり安定した電気メッキが可能なため、銅、ニッケル、銀メッキの工程において高い歩留まりを実現する。
同材料は、成形、穴あけ、研磨など時間のかかる二次加工を必要とするセラミック基板と比べ、システムコストの削減にも寄与する。同社は、同コンパウンドを用いた射出成形はスループットと生産性を向上させるとともに、スクラップの削減によるコスト低減も実現できるとしている。