ファインケミカル製品の受託生産を行うシンコー技研は、ファインケミカルの研究開発や製造のほか、独自の商品開発も展開する。同社は今年7月1日に創立50周年を迎えた。府川毅社長に50年を振り返りつつ、同社の強み、新工場のことなどを聞いた。
■創立50周年を振り返って。
多くのファインケミカルの受託生産・研究開発を行って来たが、本当に良いお客様に恵まれたおかげで、50周年を迎えられた。
振り返ると、リーマンショックなど紆余曲折があったが全社一丸となって突破して来た。最初はニッチな隙間産業として受託事業を展開していたが、開発テーマに真摯に向き合い顧客の望む良品を生産し成功体験を積み重ね、その結果、弊社売上の8割は、大手企業様の受託生産になっている。
生産拠点は、1975年に小田原工場(現:生産開発センター)、2002年に山北工場を建設した。そして2020年10月に富士小山工場が稼働したことで、3工場体制になり、多品種・量産態勢への対応がますます可能となった。
■御社の強みを挙げると。
弊社の強みは機動力ある技術力。今後、次世代を見越して、技術の継承も考えている。優秀な社員を確保するためにも、人材は重要だ。弊社では、人財という言葉を使っている。例年、小田原に全社員が集まって、方針発表会を行っていたが、コロナ禍で中止にしていた。今回も開催を見送ったが、毎年経営方針概要は、社員に周知し、特に新入社員には社員綱領「人財になるための6つの条件」を教育している。社員の教育で5Sの中心は「躾」であり、教育はすべての根底にあると考えている。従業員を教育し、技術継承しながらスパイラルアップしていきたい。
■新工場について。
顧客からの生産依頼増に伴い、既存工場(山北工場・生産開発センター)のキャパシティに限界を感じ、新工場の建設進出を決定した。そして2020年10月に、静岡県駿東郡小山町の富士山麓フロンティアパーク小山工業団地内に、第3工場となる富士小山工場を稼働することができた。富士小山工場は2万㎡の広大な土地であり、将来的に第二期工事も予定している。将来的には、生産体制や研究開発機能なども整備し、弊社における主力拠点に位置付けていく。
■現状の課題は。
半導体関連装置が半導体部品不足で入ってこないのが課題。現在進めている大型装置が完成すれば、量産体制が確立できる。
■今後100年に向けて。
企業の存在意義は、永遠に存続することだと考えている。それに関連して、座右の銘として「諸行無常」がある。社会は絶えず変化している。不変であるために変化しなくてはいけない。その変化に対応できる技術力を高め、高度な技術や品質を追求されるお客様の要望に応えていく。また、お客様と末永くWINーWINの信頼を築くためにも、常にお客様の立場で考えていくことが重要だと考えている。
全文:約1213文字