東レは9月21日、シンガポールに「東レシンガポール研究センター(TSRC)」を開所したと発表した。同社では今後、TSRCをアセアン地域におけるエレクトロニクス材料分野の研究・技術開発拠点と位置付け、日本・韓国・中国の各研究拠点と連携して、グローバル研究開発を強化していく。
シンガポールでは、電子部品などのエレクトロニクス産業基盤が構築されており、政府もエレクトロニクス分野の強化策を推進している。また、学術的にもレベルの高い研究機関や大学があることや、立地面でも高い成長が見込まれるアセアン各地域の顧客へのアクセスが容易なことなどから、エレクトロニクス産業において、シンガポールの重要性は今後益々高まると考えられる。TSRCでは、半導体や電子回路材料を含む電子部品に必要な材料の研究を同社本社と連携して進めるとともに、アセアン地区における現地顧客の技術サポートによる顧客連携を強化していくとしている。
同社は2016年から、半導体分野のシンガポール政府系研究機関であるInstitute of Microelectronics(IME)主催の国際コンソーシアムに継続的に参画し、パワー半導体、無線通信、メモリ、MEMS等の先端半導体パッケージに関する共同研究を行ってきた。
同社は同国に新たにTSRCを設置し、IMEや現地大学などとより一層の連携を強化しつつ、同社グループが保有する素材・技術の展開を図ると共に、技術動向の把握による新規素材の研究開発を加速する。また、拡大するアセアン市場のニーズをタイムリーに捉え、エレクトロニクス分野における日本・アセアン地域の橋渡しとして貢献する。
同社はグローバルに事業活動を展開しており、現在4000人以上の研究・技術開発者が、日本国内9ヶ所の研究所や海外24ヶ所の研究開発拠点で研究・技術開発を推進している。今後も、海外の研究拠点における国際的な研究活動をさらに充実させ、社外との積極的な連携を通じた、従来の発想にとらわれない新規研究領域の開拓を目指すとしている。