東レは9月15日、同社のグループ会社である、チェコ拠点のToray Textiles Central Europe(TTCE)および韓国拠点の東レ尖端素材(TAK)が、自動車の車体内の空間から発生する走行騒音・共振音・外部流入音などを防止する、極細吸音材「Airlite」(エアライト)について、チェコにて生産設備を新設し、欧州での自動車用極細吸音材の事業を拡大すると発表した。TTCEにおいて年産約1200tの設備を導入し10月から量産を開始する。
先進国では、欧州を中心に、内燃自動車を含む自動車の社外騒音規制が段階的に強化されている。また、今後急速な普及が予想される電気自動車は、エンジン騒音がほとんどないため、運転者に対する路面騒音など外部からの走行騒音への対応が必要とされている。さらに、走行中の乗り心地や高級感の演出のため、車内騒音の低減が必要とされている。また、今後はプロペラを利用したUAM(Urban Air Mobility)産業の成長が見込まれ、軽量吸音材の採用分野はさらに拡大していく。これらの状況により、今後とも吸音性能に優れ、かつ軽量な吸音材市場の持続的拡大が期待されている。
エアライトは、軽量のポリプロピレンとポリエステルを混入し、メルトブロー方式により生産した不織布吸音材で、幅広い周波数での吸音性能に優れ、また従来の吸音材より軽いため、自動車走行時に発生するエネルギー消費量を減らすことができる。
TTCEは既存のエアバッグ基布事業に加え、同事業を通じて自動車素材分野における事業拡大を目指す。TAKは車載用吸音材事業を欧州に広げ、欧州の電気自動車市場の拡大による自動車メーカーおよび主要部品会社との取り組みを強化していく。
今後はリサイクル原料を用いるなど、環境に配慮した製品開発を推進して付加価値を高め、顧客ニーズに積極的に対応していく。同社は、お客様とともにサステナビリティな社会実現に向けて、環境負荷低減の取り組みを進め、同社グループの企業理念である「私たちは新しい価値の創造を通じて社会に貢献します」の具現化に取り組んでいくとしている。