鶴見化学が不溶性硫黄を買収 コスト面などで差別化図る

2022年09月30日

ゴムタイムス社

  鶴見化学工業(加藤進一社長)は9月22日、日本乾溜工業のゴム用不溶性硫黄事業を譲受する吸収分割契約を同日締結したと発表した。
 2022年12月1日から、同社がゴム用不溶性硫黄事業(商品名「セイミOT」「セイミサルファー」)を運営し、福岡県北九州市にある年産4000tの工場と同事業の従業員を引き継ぎ、同社九州工場としてスタートとする。買収額は数億円。

 ゴム用不溶性硫黄は、今後も世界需要が増えることが見込まれることから、同社はタイヤやゴム業界の幅広いニーズに対応すべく、同事業を買い取ることを決定した。
 今回の事業譲渡について、加藤社長は「当社の更なる成長のため、そして次なる手として、不溶性硫黄を展開していくには、大変意義がある事業譲渡となった」と語る。

 同社は粉末硫黄(溶性硫黄)の製造を1944年から展開。ゴム業界のゴム用粉末硫黄市場で、半分以上のシェアを占めている。今回、不溶性硫黄事業を加えることで粉末硫黄と不溶性硫黄の両方グレードの硫黄を国内外のタイヤメーカーやゴムベルトメーカーなど提供できることになり、コストメリットや性能を打ち出すことで差別化を図る。今回の買収により、同社の粉末硫黄と不溶性硫黄を合わせた硫黄生産量は1・5倍となり、売上が1・7倍になる計画だ。また、同社の親会社である加藤産商の販売ネットワークを通じ国内のシェア拡大を目指すほか、東南アジアのローカルのタイヤメーカーなどに新規の拡販も進めていく。
 セイミOTやセイミサルファーは、国内で初めて製品化された不溶性硫黄であり、硫黄中の約60%不溶性硫黄となっている。

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