出光興産、豪州で参画 バナジウム探鉱プロジェクト

2022年09月28日

ゴムタイムス社

 出光興産は9月27日、豪州でのバナジウム探鉱プロジェクト「リンドフィールド プロジェクト」に参画すると発表した。同社は、同プロジェクトへの参画に向け、豪州クイーンズランド州にバナジウム探鉱鉱区を保有するクリティカル ミネラルズ グループ社(CMG社)のIPO株式32・22%を同日取得した。出資は、豪州の同社子会社である出光オーストラリアがクリティカルミネラル(重要鉱物)鉱山事業推進を目的として新たに設立した、出光ミネラルズオーストラリアを通じて行う。

 豪州は鉱物資源に恵まれており、バナジウムをはじめとする多くのクリティカルミネラルが賦存する。同社は約40年にわたる豪州での石炭鉱山の操業で培ってきた事業基盤を生かし、石炭鉱山操業業務と親和性があるクリティカルミネラル鉱山事業への参入を検討してきた。今回のリンドフィールドプロジェクトへの参画は、その第一弾となる。

 豪州政府は脱炭素化に向けたエネルギー転換を推進しており、太陽光発電や風力発電といった再生可能エネルギーの導入を促進しているが、導入拡大における課題として電力系統の安定化が挙げられる。この課題解決に寄与する技術として大容量の蓄電技術が注目されており、バナジウムを電解液に使用するバナジウム・レドックスフロー電池(VRFB)もそのひとつとなる。同社は今後、CMG社とともに、探鉱・技術コンセプトスタディーを進め、VRFB向けの利用を想定したバナジウム生産の事業化可能性を検討する。

 同社は今後も、クリティカルミネラル鉱山事業の知見とネットワークを構築し、豪州のエネルギー転換に積極的に対応していくとともに、低炭素・脱炭素事業の創出に取り組んでいくとしている。

 

プロジェクト位置

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