新規スパンボンド不織布を開発 東レ、親水性が長期間継続

2022年10月03日

ゴムタイムス社

 東レは9月29日、親水性が長時間継続する肌にやさしいスパンボンド不織布を開発したと発表した。同スパンボンド不織布は、ポリマー構造に親水機能を導入することによって、通水を繰り返しても親水性が低下しないという特長を有しており、紙オムツやマスク、生理用品などの衛生材料用途に好適な素材となっている。同社は、量産体制を構築した上で本格的な生産を開始する。

 衛生材料用のスパンボンド不織布には柔軟性が必要であるため、ポリエステルよりも柔軟な素材であるポリプロピレンが用いられている。ただし、ポリプロピレンは疎水性ポリマーであり、紙オムツやマスク、生理用品など親水性が必要な用途では、不織布に親水剤を塗布する親水加工が行われる。しかし、表面への親水剤の塗布であるため、通水時には水とともに親水剤が流出し、親水性が低下しやすいという課題があった。

 同社は、この親水性低下課題に関して、不織布の表面処理ではなく、不織布に用いるポリマーを親水化する研究を進めてきた。ポリマー改質が容易なポリエステルに着目し検討を行ってきたが、今回、共重合成分の構造と分子量を制御することにより特殊なドメイン構造が発現、このドメイン構造が発現した場合に、ポリエステルの親水性が飛躍的に向上することを見い出した。その結果、繰り返し通水を行っても親水性が半永久的に持続する、新しいスパンボンド不織布の開発に成功した。

 同スパンボンド不織布は、ポリエステル不織布でありながら、柔軟性に優れるポリプロピレン不織布と同等の柔らかさを有している。また、親水性が持続することによって、液残りや濡れ広がりが抑制されるとともに、素材としても肌刺激の指標となる細胞毒性が認められない、肌に対して低刺激のものであるため、紙オムツやマスク、生理用品など、直接肌に触れる用途に好適な素材となっている。

 同社は今後、同原料のポリエステルにバイオ原料やリサイクル原料を適用し、サステナブルな社会実現に向けた環境負荷低減の取り組みを進めていくとしている。

 

スパンボンド不織布

スパンボンド不織布

親水性の評価

親水性の評価

 

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