日本触媒は10月6日、同社とトクヤマが、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)による「燃料電池等利用の飛躍的拡大に向けた共通課題解決型産学官連携研究開発事業」の枠組みにおいて、「燃料電池の多用途活用実現技術開発」として、「高圧方式に適した大型アルカリ水電解装置及びセパレータの開発事業」が採択され、受託したと発表した。
高圧型アルカリ水電解装置(高圧AWE)は、セパレータで仕切られたセルにアルカリ水溶液を供給し通電することで水素・酸素を製造する。水素は次世代エネルギーとして注目されており、再生可能エネルギー由来の電力で作られるグリーン水素には世界中で大きな期待が寄せられている。
同事業は、同社による高圧方式にも適した大型セパレータの開発と、トクヤマによるセパレータ性能を最大限発揮する電解槽の内部構造開発を掛け合わせ、世界に通用する競争力ある高圧AWEの開発を目指すものとなる。同社が開発するセパレータを、トクヤマが開発する高圧AWEのパイロット設備に組み込み、研究開発を進めていく。
同社は、長期ビジョンで定めた「2030年の目指す姿」を実現するため、ソリューションズ事業の拡大を推進している。独自の有機無機複合技術とシート成形技術を活用した同セパレータは、中長期的に成長が見込まれるグリーン水素市場を念頭に開発を進めており、これまでに1・2m幅までのセパレータの開発に成功している。同事業では高圧方式にも対応した大型セパレータを開発することで、水素製造の効率化に寄与し、グリーン水素社会の実現を後押ししていく。
トクヤマは、中期経営計画2025で「地球温暖化防止への貢献」を掲げ、環境対応型製品の開発に注力している。常圧のアルカリ水電解装置については、同事業に先行して、製作・開発拠点を先進技術事業化センター(山口県柳井市)にて整備を開始し、2025年度までの事業化を目指している。食塩電解事業で長年培った電解装置関連のオリジナル技術を、高圧AWEにおいても活用し、次世代のエネルギー供給に役立てるべく、取り組みを加速させていく。
両社は同事業を通じ、自社に強みのある技術にさらに磨きをかけ、2050年カーボンニュートラルの実現と持続可能な社会構築へ積極的に貢献していくとしている。