ユニチカは10月11日、環境意識の高まりを背景に、サステナブルな社会の実現に向け、樹脂事業において2つのケミカルリサイクル材料「低CO2ナイロン6」「ケミカルリサイクルPET」を提案すると発表した。ケミカルリサイクル材料では、同社工程内で発生したナイロン6やPETボトルの回収品を解重合にすることにより、資源を循環させて、環境に貢献する。
低CO2ナイロン6は、重合時に発生する端材を回収し、解重合によって化学的にナイロン6をモノマーであるカプロラクタムに戻し、再利用している。廃棄される端材を再利用することで、廃棄物削減や地球温暖化、石油資源枯渇などの問題を解決する一助になる。同社は、将来構想として、コンパウンドなどでフィラーなどを添加した強化材料や着色材料、最終製品からのケミカルリサイクルも考えている。
「ケミカルリサイクルPET」は、回収されたPETボトルを、ユニチカ独自の技術を用い、解重合で中間原料に戻した上で再重合を行い、新たな製品を作る原料として生まれ変わらせている。化学的に中間原料物質まで分解してからもとの樹脂にまで戻すケミカルリサイクルによって、品質の劣化が少ない再生材となり、石化由来PET対比でCO2排出量も削減することができる。また、再重合の前に共重合成分を導入することで共重合タイプが得られ、厚肉透明用途への適用も可能となる。衛生性に関しても、食品衛生法改正に伴う、食品用器具・容器包装のポジティブリストに掲載された物質により構成されている。
同社グループでは、環境と共生する暮らしの実現を優先課題の一つに掲げ、「for the EARTH」というテーマのもと、グループ全体で製品づくりに取り組んでいる。同社は、環境配慮型素材へのニーズが日々高まる中、環境性能のカテゴリー化(バイオマス、リサイクル、リデュース)による理解促進と販売強化を推進することで、環境配慮型樹脂全体で売上高数十億円規模の商品群を目指すとしている。