旭化成はこのほど、栃木県壬生町に建設するコンパウンド生産・技術センターに新たに開発用押出機の導入を決定したと発表した。同社グループでは、エンジニアリング樹脂領域を重点戦略事業と位置付け、その重要な製造プロセスの一つであるコンパウンド工程においても、日本、米国、タイ、中国にある樹脂コンパウンド製造工場の競争力強化を継続的に推進している。その施策の一つとして、栃木県にコンパウンド量産機能と生産技術開発機能を一体で運営するコンパウンド生産・技術センターの建設を進めている。同社は23年夏の稼働を目指し、同センター内において新たに開発用押出機を導入することを決定した。開発用押出機導入を通じ、グレード開発期間短縮や新生産技術創成、グローバル人財育成を推進していく。
グレード開発期間短縮では、従来は新グレード検討からコンパウンド量産技術・条件の確立までに時間を要していた。ただ、量産機能とグレード試作機能の両方を持つ当センターに開発用押出機を導入することで、試作回数を約3倍と飛躍的に拡大、グレード開発期間を大幅に短縮する。同センターで収集した量産データをAI技術などのDXを活用し、新グレード検討から量産までの期間を短縮することも進めていく。
新生産技術創成では、開発用押出機には、いくつかの新製造設備における粉体原料供給プロセスの強化・安定化を図る技術や脱気プロセスの強化・安定化を図る技術、運転監視のセンシング技術など)を導入。これら他分野からの要素技術を含めてハード・ソフト両面からコンパウンド量産技術まで高め、さらに当センターから各国の自社コンパウンド工場に技術移転することで、同社グループ全体のコンパウンド生産技術を向上させ、より高付加価値な製品を開発することができる。
グローバル人財育成では、新グレード量産技術・条件確立や新生産技術の検討から量産化までを全て一度に経験できるため、短期間で多角的な技術習得が可能。この多角的技術を習得した人財がグローバルのコンパウンド拠点(日本、米国、タイ、中国)に駐在し、さらに工場経験を積むことで、本人および現地スタッフの生産技術レベル向上だけでなく、工場マネジメントのスキルも身に付けられ、コンパウンド製造を担うグローバル人財を育成できると考えている。
2022年10月12日