クラレは10月14日、東京ビッグサイトで19日から開催される「SAMPE Japan 先端材料技術展2022」に出展すると発表した。自動車やスポーツ用品など幅広い用途に向けて、同社の独自技術により開発した4つの複合材料関連素材を紹介する。
出展製品は、「表面平滑性付与シート」(開発品)、「熱膨張固定シート」(開発品)、「振動減衰性を有するエラストマーメッシュ/不織布」、「新規耐熱コンポジット」(開発品)となっている。
表面平滑性付与シートは、CFRP(炭素繊維強化プラスチック)のプリプレグの表層に積層し成形することで、CFRPのボイドを低減し、表面の平滑性を高めることができるフェノキシ樹脂製メルトブローン不織布シートで、フィルムシートと比較して通気性が良いため、熱成形時に空気が抜けやすく成形性に優れている。適用例はゴルフシャフトや釣り竿、自転車フレームなどとなっている。
熱膨張固定シートは、加熱による膨張性能を利用し、部材同士を短時間で固定できるシートで、エポキシ樹脂での固定と比較し、有機溶剤を使用しないためVOC(揮発性有機化合物)の発生を低減できる。膨張後は多孔質構造となるため、断熱性や通液・通気性を有する熱マネジメント部材としても機能する。適用例はモータの磁石固定材や絶縁材などとなっている。
振動減衰性を有するエラストマーメッシュ/不織布は、CFRPと複合化することで振動減衰性を付与できる熱可塑性エラストマーで、音質の調整、振動の抑制、触り心地の調節などの効果が期待できる。同社は、メッシュと不織布の2タイプを開発した。適用例としてスキー・スノーボード板、テニスラケット、自転車などのスポーツ用品が挙げられる。
新規耐熱コンポジットは、荷重たわみ温度が300℃を超える複合材料となる。ポリカーボネート樹脂とフェノキシ樹脂の硬化反応を利用しており、300℃未満で成形することができるため、高温での成形が難しい装置でも成形が可能となり、成形時のエネルギー削減にも貢献する。適用例は、自動車やドローンの部品など、耐熱性を要する構造部材が挙げられる。