王子ホールディングス(HD)は、木材原料由来で同社独自の製法により製造したリン酸エステル化セルロースナノファイバー(CNF)と、同じく木材原料由来の天然ゴムとの複合材の開発に成功した。
天然ゴムは、伸縮性(伸び)や耐摩耗性に優れ、かつ柔らかい特徴を持つ素材であり、世界で年間1300万t程生産され、タイヤ、ホース、コンベアベルト等各種用途に使用されている。ただ、その多くの用途で、ゴム素材でありながら、硬さが重要な性能とされている。天然ゴムの柔らかさを改善するには、一般的にはカーボンブラック(CB)等を混合し、硬さを付与する一方、特徴の一つである伸びが損なわれる。さらに地球温暖化対応が求められている中で、化石燃料由来の素材であるCBからバイオ素材への転換の要求が高まっている。
同社ではこのほどCBの代替として、独自のバイオ素材であるリン酸エステル化CNFと天然ゴムを複合化したゴム素材を、信州大学の野口徹特任教授との共同研究により開発した。
新しく開発されたCNF/ゴム複合材は、天然ゴムの特徴である伸びを損なわずCB配合並みの硬さを有している。
今回開発に成功したCNF複合ゴム素材は今後、自動車産業をはじめとして各種産業において環境配慮型素材としての活用が期待されており、同社はサンプルの提供を開始する。今後もお客様と共に持続可能な社会の実現に貢献していく。
2022年10月19日