デンカは10月20日、タイバンコクにあるSCGChemicals(SCGC社)とアセチレンブラック製造販売事業を行う合弁会社設立に向けた契約を10 月18 日に締結し、同日調印式を実施したと発表した。なお、合弁会社設立後に両者共同で立ち上げる製造設備は年間約1万1000トンの生産能力を予定しており、2025年初の生産開始を見込んでいる。
同社のアセチレンブラックは導電材料であるカーボンブラックの一種で、アセチレンガスの熱分解によって製造される。独自の熱分解合成技術により、金属、硫黄などの不純物が極めて少なく、超高純度かつ高い導電性を実現しており、xEV のリチウムイオンバッテリーや洋上風力発電の高圧送電線ケーブル用途で使用され、需要が急拡大している。
同社は現在、国内外合わせて3拠点でアセチレンブラックの製造を行っており、急増する需要への対応策として新たな製造拠点の設立をかねてより計画してきた。また、契約締結先であるSCGC社は、アジア有数のコングロマリット企業「Siam Cement Public 」を母体に持ち、アセアン地域を代表する総合化学企業。SCGC社の豊富で安定したアセチレンガス原料の供給能力と同社の高純度なアセチレンブラック製造技術および販売ネットワークを組み合わせた合弁会社の設立により、本製品のさらなる生産・販売体制強化に努めていく。
合弁会社の概要。所在地はタイラーヨン県、事業内容はアセチレンブラックの製造・販売、出資比率はデンカ60%、SCGC社40%となっている。