デンカは10月25日、同日開催の取締役会において、同社のセメント販売事業を、吸収分割の方法により同社の100%子会社として新たに設立する完全子会社に承継させた上で、新会社の全株式を太平洋セメントに譲渡することを決定し、同日付で太平洋セメントとの間で株式譲渡契約書を締結したと発表した。また、併せて、2025年上期を目途に石灰石の自社採掘及びセメント製造事業からの完全撤退を決議したことを発表した。
近年、同社セメント事業は、国内セメント需要が低調に推移しているとともに、老朽化した設備の更新やカーボンニュートラルに向けた大型投資が不可避という厳しい局面に立たされている。そのため、経営計画「Denka Value―Up」において事業再構築が必要なコモディティー事業と位置付け、構造改革を検討してきたが、今回、同社単独運営による今後の事業維持・成長は困難との結論にいたった。
太平洋セメントの100%子会社である明星セメントは、同社の青海工場と同じく糸魚川市にセメント工場を有している。そのため、明星セメントとの協業により、同社の石灰石採掘及びセメント製造事業撤退後、同社カーバイドチェーンにおける石灰石供給と副産物の有効活用は、太平洋セメント及び明星セメントが担っていく。
会社分割後の状況について、同吸収分割に伴う同社の商号、本店所在地、代表者、事業内容、資本金及び決算期について変更はない。また、同社は同株式譲渡の実行日をもって、新会社の全株式を太平洋セメントに譲渡する予定としている。
同社は今後、2023年3月を目途に、セメント及びセメント関連製品の販売事業を、吸収分割の方式により、新会社へ資産、負債、契約上の地位及び権利義務等を承継したうえで、新会社の全株式を太平洋セメントに譲渡する。その後、2025年上期を目処に、同社はセメント生産および石灰石の採掘を停止し、セメント事業より完全撤退する予定としている。同社のカーバイド生産用の石灰石は太平洋セメントから購入し、同社カーバイドチェーンで発生する副産物は明星セメントが受け入れ、セメントの原燃料として有効活用していく。