三井化学は10月27日、人型ロボットの指部品に、金属製ギヤの代替として超高分子量ポリエチレン「リュブマー」製ギヤを用いることで、省エネルギー化ならびに軽量化が確認され、論文が掲載されたと発表した。同社は早稲田大学(早大)理工学術院総合研究所の大谷拓也次席研究員ならびに同大理工学術院の高西淳夫教授らの研究グループと、hide kasuga 1896(HK)の3者で、「超高分子量ポリエチレン『リュブマー』を用いたロボット分野における樹脂製ギヤの開発」に向けた共同開発を行っている。
世界的に深刻化するエネルギー供給問題は、近年、様々な分野で実用化が進んでいるロボット分野においても研究開発の喫緊の課題となっている。ロボットの電力エネルギー消費のほとんどはモーター電力であり、大型化、重量化するほど増大する。そのため、消費エネルギーを低減するには、ロボット自体の軽量化が重要となる。同社では、これまでロボットの金属代替として、高強度プラスチックなどを用いたフレームやアーム等への樹脂部品を供給することにより、それらの軽量化に貢献してきた。しかしながら、ロボットの本質的な軽量化にはフレームやアームといった外骨格だけではなく、駆動ギヤの軽量化が必要不可欠だった。
同社は、超高分子量ポリエチレン「リュブマー」を用いたロボットの金属部品代替を検討している。これにより、省エネルギー化、軽量化、静音化に加えて、メンテナンスフリーを実現できると仮説を立てており、早大、HKと共同開発を行ってきた。今回、人型ロボットの指部品において、金属製ギヤからリュブマーへ置き換えるだけでギヤ部品の約89%の軽量化ならびに省エネルギー化が確認された。リュブマーがロボット分野のギヤにも適用できる可能性が示唆され、論文が掲載された。
同社は今後、人型ロボットの肘、肩、胴体部分のより高負荷、高速での動作が必要とされる部分にまで実装範囲を拡大して、その耐久性、オイルレス駆動の実用性、低騒音効果など付随する効果検証をし、超軽量化ロボットの実現の可能性を検証していくとしている。