ダイセルの23年3月期第2四半期連結決算は売上高は2662億3200万円で前年同期比18・4%増、営業利益は260億2600万円で同4・5%減、経常利益は302億4200万円で同1・4%増、四半期純利益は222億1000万円で同0・7%増となった。
セグメント別にみると、マテリアル事業の売上高は723億5900万円で同24・7%増、営業利益は103億3200万円で同20・2%増となった。酢酸は、定期修繕に伴う販売調整や、前期高騰した酢酸市況の軟化により、減収となった。酢酸誘導体は、酢酸エチルの販売数量増加などにより、増収となった。アセテート・トウは、前年同期の減収要因であった会計基準変更の影響が無くなったことや、一部用途の需要増加などによる販売数量の増加、原燃料価格上昇に伴う販売価格の是正、為替の影響などにより、増収となった。カプロラクトン誘導体やエポキシ化合物などは、ポリウレタン向けなどの需要が好調に推移しカプロラクトン誘導体の販売数量が増加したことや、原燃料価格上昇に伴う販売価格の是正、為替の影響などにより、増収となった 。
エンジニアリングプラスチック事業の売上高は1235億5900万円で同18・4%増、営業利益は144億6100万円で同10・0%増となった。ポリアセタール樹脂、PBT樹脂、液晶ポリマーなどポリプラスチックスの事業は、日系自動車生産の減少予想による自動車部品メーカーの在庫圧縮の影響を受け、新型コロナウイルスの影響からの需要回復で販売数量が急増していた前年同期と比較して販売数量が減少したものの、継続的な販売価格の是正や、為替の影響により、増収となった。ABS樹脂、エンプラアロイ樹脂、フィルム、水溶性高分子などダイセルミライズの事業は、原燃料価格上昇に伴う販売価格の是正、為替の影響などにより、増収となった。
メディカル・ヘルスケア事業の売上高は、108億8600万円で同13・0%増、営業利益は11億500万円で同20・8%減となった。コスメ・健康食品事業は、中国のロックダウンの影響により化粧品原料の販売数量が減少したものの、原燃料価格上昇に伴う販売価格の是正や、健康食品素材の販売数量が増加したことなどにより、増収となった。
スマート事業の売上高は、161億6400万円で同4・7%増、営業利益は3億7300万円で同85・5%減となった。液晶表示向けフィルム用の酢酸セルロースや高機能フィルムなどのディスプレイ事業は、高機能フィルムの販売数量が増加したものの、液晶パネルの在庫調整の影響により、酢酸セルロースの販売数量が減少し、減収となった。電子材料向け溶剤やレジスト材料などのIC/半導体事業は、液晶パネル材料向けの販売数量が減少したものの、需要が好調に推移した半導体材料向けの販売数量の増加や、原燃料価格上昇に伴う販売価格の上昇などにより、増収となった。
セイフティ事業の売上高は、397億4500万円で同24・6%増、営業損失は3億6400万円(前年同期は営業利益10億7200万円)となった。自動車エアバッグ用インフレータ(ガス発生装置)などのモビリティ事業は、半導体不足や中国のロックダウンの影響を受けたものの、自動車生産が徐々に回復し販売数量が増加したことや、為替の影響などにより、増収となった。
通期の連結業績予想については、直近に公表した業績予想から修正し、売上高は5790億円で前期比23・7%増、営業利益は540億円で同6・5%増、経常利益は590億円で同3・0%増、当期純利益は410億円で同31・2%増を見込んでいる。