マイクロ波化学は11月1日、国内初となる1日あたり1tの処理能力を持つマイクロ波を用いた汎用(はんよう)実証設備が完成したと発表した。同社は2021年に1時間あたり5kg程度の処理能力を持つ小型実証設備を完成させているが、新たに「高温複素誘電率測定装置」の開発などを行うことにより、大規模かつ汎用的な実証設備を完成させた。
同社は、2022年度内に同実証設備を本格稼働し、汎用樹脂を中心に実証試験を実施する予定としている。今後は年間1万tへとさらにスケールアップし、2025年までに化学メーカーなどと共同で社会実装を目指す。同社は、同事業を通じてブラッシュアップしたマイクロ波プラスチック分解技術「PlaWave」を確立し、2030年の国内の省エネ効果量として3・9万kl(原油換算)を目指すとともに、サーキュラーエコノミーの実現に貢献していく。
NEDOが進める「戦略的省エネルギー技術革新プログラム/実用化開発フェーズ」において、同社は「マイクロ波プロセスを応用したプラスチックの新規ケミカルリサイクル法の開発」に取り組んでおり、プラスチックにエネルギーを直接伝達できるマイクロ波技術によって、従来の熱分解プロセスに対して約50%の省エネ効果の実現を目指す技術を開発している。
同社は今後、同事業を通じてブラッシュアップしたマイクロ波によるプラスチック分解技術「PlaWave」を確立し、同技術をグローバルスタンダードにすべく開発を進めていく。これにより、2050年カーボンニュートラルへの道筋を示し、産業分野における温室効果ガスの排出量削減に貢献する。具体的には、2022年度内には同事業において同実証設備を本格稼働し、国内で初めて、マイクロ波を利用したポリスチレンのモノマー化などの実証試験を実施する予定としている。また同事業終了後は、2025年までの社会実装を目指してさらなるスケールアップのための実証実験を進めていくとしている。