アストは10月28日、トイレットペーパーとハンドタオル外装フィルムに、TBMの石灰石を主原料とする「LIMEX Pellet(ライメックスペレット)」(インフレーション成形グレード)を採用したと発表した。トイレットペーパーとハンドタオルの外装にLIMEXを使用する初の事例となる。2022年12月より順次全国のドラッグストア、ホームセンターやディスカウントストアなどの小売店に並ぶ予定。
LIMEX製外装フィルムは同社の従来のPE(ポリエチレン)製外装フィルムと比較して、石油由来プラスチックの使用量を約40%削減でき、原材料調達から処分までの製品ライフサイクル全体で、CO2を含む温室効果ガス排出量を約15%抑制できる見込みとなる。
経済産業省統計によるとトイレットペーパーの年間生産量は100万t超であり、一般的な12ロール入りのトイレットペーパーに換算すると7億パックにものぼる。家庭紙のプロフェッショナルである同社は、一般消費者が参加しやすい環境貢献施策として家庭紙の包装資材に使われているプラスチックを減らすことに着目し、今回、LIMEXの環境性能を評価、業界初となる家庭紙包装資材への採用に至った。
LIMEXは、炭酸カルシウムなどの無機物を50%以上含む無機フィラー分散系の複合素材で、主原料が石灰石であるため、プラスチックや紙の代替製品を製造する際に使用する石油や水や森林資源など、枯渇リスクの高い資源の保全に貢献することができる。その環境性能については、製品の原材料調達から生産、流通、使用、廃棄に至るまでの製品のライフサイクルにおける環境影響を科学的に分析するライフサイクルアセスメント(LCA)という手法を用いて算定され、素材開発に活用されている。
すでに8000以上の企業や自治体等にて採用されており、世界40カ国以上で特許を取得、COPやG20などの国際会議で紹介される他、日本の優れた技術として、UNIDO(国際連合工業開発機関)のサステナブル技術普及プラットフォーム「STePP」に登録されている。