第27回 JRM・日本ゴム機械懇話会総会 東日本大地震受け神戸で開催

2011年04月25日

ゴムタイムス社

あいさつする高木会長

 「ゴム産業向け機械の景況は昨年以後、リーマン禍から急速に回復しつつあったが、今回の大震災の影響で今後は、早くとも9月あたりまでは、需要の大 幅な落ち込みを覚悟する必要があるのではないか ―」。

 JRM・日本ゴム機械懇話会(会長・高木康彦・関西ロール社長)は20日午後から、神戸のサンメ ーンバーズホテルで第27回総会および講演・懇親会を開いた。 総会は、玉置氏(小松原社長)の司会で進行。全員で今回震災で亡くなった人びとに黙とうを捧げた後 、山中亨副会長が、今回の大地震を受け、当初総会開催を予定していた関東から急きょ神戸にシフトした旨を説明。 あいさつで高木会長は、今総会は会員21社、報道4社の計25人が参加。このうち中田エンジニアリン グの内藤定明、モリヤマの小梅川研三両社長と、日本ロール製造の西本勝康常務らの初参加を得た。 今回大震災では、被災地東北にて多数のゴム会社の拠点が大きな痛手を蒙った。今後、会員は情報交換を密にし、難局を乗り越えようなどとスピーチするとともに、冒頭の見通しを表明。次に会計担当が 2010年度会計を報告した。 各社が近況報告を行った後、講師の大友良浩弁護士が「法律から見る企業リスクマネジメント」をテ ーマに50分余講演。質疑では特許に関する質問が相次いだ。 ◎会員各社の近況 「当社は茨城の顧客が多いが、客先への影響は軽微で済んだ。しかし白河市の企業の被災でOリング系成型材の調達がストップし、困っている。先行き暗い状況に戻ったという印象が否めない」 「リーマン禍以後、外需中心に業績は順調に回復してきたが、大地震で注文がピタっと止まった。

 近年は、海外進出ゴム・タイヤ会社がこぞって、安価・そこ そこの性能の台湾、中国製機械を購入、改良 しながら使用している。我われも、国内で作り続けるのなら、互いに連携し、台・中国に対抗できる低 コストの機械を生産できないと、存続できないところにある。 好材料は、中国の高速道路建設など社会資本整備が引き続き堅調な点で、同分野に期待している」 「大地震で、東北のみならず首都圏~北関東の客先の設備も破損し、被害はひどい状況だ。当社は昨年に入り、熱硬化樹脂がEV関連向けを中心に需要が急回復。前年比2倍以上の売上げ回復を見せていただけに、地震の影響は大きい。 懸念は夏場の節電だ。乗り切るためフレキシブルな操業・働き方が可能なのかを検討するべく、労組 の代表とも協議している」 「多くの顧客が、地震の影響を受けている。主力の押出機は、電気(子)分野の復旧遅れが響き、品薄。回復には時間がかかる。海外の競合は欧州メーカーだ。円高で苦労しており、受注を取るため赤字ベースで受注が続いている。 しかし中国市場は、クルマメーカー中心に市場の成長が続いており、品質優位性の強化と、価格引下げ力に、どこまで伍していけるかが課題だ」 「前期は、下期に業績回復が加速した。地震の影響でキャンセルが生じつつある。国内は、自動車分野 が厳しいが、燃費(電費)削減に向け、軽量化をキーに、素材技術革新に役立つ機械を開発提案すること で拡売につなげる。海外はとても厳しい。的を絞り、商品力と価格競争力の引き上げを図る」 「納入先の95%が、中国・ベトナム・マレーシアなどの海外。OA関連が多い。機械改造に伴なうトラ ブルが急増し、修理が追いつかず、駐在員を増やしたが、それでもまだ多忙だ。 新製品は、高くても良い製品と、精密測定器などはローカル製品に近い価格で薄利多売に徹する製品 の2本立てで行く計画だ。すでに中国ローカルから注文を得ており、その際必ず前金で代金をいただく ようにしている。 地震の影響で、当社の加工機械にミクロン単位の狂いが生じ、修復のため3週間納期遅れとなった。知人の工事業者、屋根の施工業者は地震以後、みな超多忙だ。現場が済み次第、東北に向うよういわれているそうだ」

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