東レは11月24日、同社、日東製網、及びマルハニチロのグループ会社の大洋エーアンドエフ(大洋AF)の3社が、循環型社会の実現と海洋プラスチック問題の解決をめざす、業界初の「漁網to漁網リサイクル」に共創・協働で取り組むと発表した。
漁網製造時に発生する端材やくずを原料の一部に使用したナイロン原糸を同社が開発、その原糸を用いて日東製網が漁網を製造し、大洋AFが運航する漁船にて試験的に導入し、「漁網to漁網リサイクル」のシステム構築をめざす。
「漁網to漁網リサイクル」のシステム構築は、世界的にもまだ主だった前例がない。今回、最初の取り組みとして、漁網製造時に発生する工程くずを再資源化して原料の一部に有効利用した「漁網to漁網リサイクル」でつくる新しい漁網を、海外まき網漁業及び沖合まき網漁業の操業時に試験的に導入する。
従来、漁網製造時の工程くずは産業廃棄物として処理されてきたが、日東製網では糸くず及び網くずを材質ごとに分別し、事業場から排出される産業廃棄物をリサイクルする取り組みを拡大してきた。再生材料は強度や耐久性が低下するため、漁網用原糸へのリサイクル自体が困難とされてきた。
しかしながら今回、同社の独自技術によって再生ナイロン樹脂を原料の一部に使用しながらも、バージン材料100%と遜色ない物性の漁網用原糸の開発に成功した。「漁網to漁網リサイクル」でつくる革新的な漁網の市場適合性や妥当性確認は、試験操業の結果を検証し、適用範囲を見直し、2023年4月からの社会実装化(販売開始)を予定している。
今後は、試験操業結果のフィードバックをもとに、「漁網to漁網リサイクル」の社会実装化への足掛かりとする。同社・日東製網では、工程くずなどのプレコンシューマ材料から、使用済み製品などのポストコンシューマ材料を原料とする革新的な原糸と漁網の開発・製造をめざし、今後も共創・協業していく。将来的には新たな技術革新や先端材料で、「漁網to漁網リサイクル」の社会システム構築のさらなる深化に努めていくとしている。