日本ゼオンは11月30日、子会社であるZeon Chemicalsのテキサス工場(米国テキサス州)において、水素化ニトリルゴム(HNBR)「Zetpol」の生産能力増強を決定したと発表した。今回の能力増強により、同社グループ全体における水素化ニトリルゴムの年間生産能力は現行比で約25%増加する見込みであり、今年11月に着工、2025年1月の生産開始を目指す。
Zetpolは、耐油性の高いニトリルゴムを水素化することにより耐熱性を高めた特殊ゴムで、同社高岡工場(富山県高岡市)とZeon Chemicalsテキサス工場の2拠点で製造しており、テキサス工場では2020年に、高岡工場では2022年にそれぞれ生産能力増強を実施し、供給体制を強化してきた。
Zetpolは高耐熱、高強度が求められるさまざまな産業領域において需要が拡大していることに加え、フッ素ゴムの代替用途など、今後も安定した需要増が見込まれている。また、水素化ニトリルゴムを主成分とする同社のリチウムイオン電池(LIB)用正極バインダーは、昨今の電気自動車の急速な普及に伴い、国内外における需要が高まっており、今回の能力増強はこれらの旺盛な需要に応える形となる。
同社グループは、これからもZetpolの安定的な供給体制を確保しながら、産業発展に尽くしていくとしている。