三洋化成工業は12月2日、持分法適用関連会社であるAPBの同社保有株式の一部をTRIPLE―1に譲渡することを決議し、株式譲渡契約を締結したことを発表した。これにより、APBは同社の持分法適用関連会社から除外されることになる。
APBは、バイポーラ積層型の次世代型リチウムイオン電池である全樹脂電池の研究・開発・製造及び販売を行うスタートアップ企業であり、同社はAPBに対し、全樹脂電池のキーマテリアルとなる被覆活物質を供給している。
同社では、当初、全樹脂電池の開発フェーズにおいては、APBの経営リソースが十分ではないことから、APBの経営を支援しつつ、同社と連携し、全樹脂電池開発を進めてきた。
開発フェーズの終了後は、同社は全樹脂電池のキーマテリアルである被覆活物質の開発、供給体制の確立に専念する一方で、APBは武生工場を設立し、人員の拡充を進めるなど経営体制の整備を着実に進め、量産化、製品化フェーズを全面的に担うに至るとともに、将来的な事業成長のための新たなパートナー企業との提携を模索していたところ、TRIPLE―1からAPBに対して、その後、APBを通じて同社に対して、同社保有株式の一部を取得したいとの申し入れがあった。
TRIPLE―1は、半導体の設計・開発や最先端技術を活用したデジタルインフラ構築事業を行い、最先端プロセスの開発に実績を有していることなどから、同社では今回の株式譲渡は、APBの技術開発を加速させ、将来的な事業成長に資することができ、また被覆活物質の開発・供給に注力するという同社の方針にも合致すると判断した。
以上のことから同社は、保有するAPB株式の一部をTRIPLE―1に譲渡することを決議し、株式譲渡契約を締結した。同株式譲渡契約締結により、同社はAPBの発行済株式の34・2%を譲渡し、同社の議決権所有割合は10%となった。なお同社は、同件株式譲渡による2023年3月期の連結業績への影響は軽微であるとしている。