積水化学、都と共同研究 新型太陽電池

2022年12月05日

ゴムタイムス社

 積水化学工業は12月2日、フィルム型ペロブスカイト太陽電池の共同研究を東京都と開始すると発表した。

 2023年春から森ヶ崎水再生センターにフィルム型ペロブスカイト太陽電池を設置して、発電量のモニタリング、腐食耐久性の確認などを実施する。

 世界全体で気候変動が問題視され、持続可能な社会を作るために再生可能エネルギーの拡大が求められているなかで、シリコン系太陽電池は重量などによる設置場所の制限が課題となっている。フィルム型ペロブスカイト太陽電池は、軽量で柔軟という特長を持ち、ビルの壁面や耐荷重の小さい屋根、あるいは曲面といった、さまざまな場所に設置が可能な次世代太陽電池であり、再生可能エネルギーの普及拡大を加速させ、カーボンニュートラルの実現に大きく貢献することが期待されている。

 共同研究では、下水道施設をはじめとした、大規模建築物などを有する公共施設は、フィルム型ペロブスカイト太陽電池の設置場所として、脱炭素社会の実現に貢献する重要な潜在市場の一つであると考え、フィルム型ペロブスカイト太陽電池の下水道施設への適用性を検証。2023年春頃までに、処理槽上部にある覆蓋の一部にフィルム型ペロブスカイト太陽電池を設置し、発電効率の測定や耐腐食性能などの検証を実施する。

 同社では、独自技術である「封止、成膜、材料、プロセス技術」を活かし、業界に先駆けて屋外耐久性10年相当を確認し、30cm幅のロール・ツー・ロール製造プロセスを構築している。さらに、同製造プロセス による発電効率15・0%のフィルム型ペロブスカイト太陽電池の製造に成功している。
 2023年度からは、本件の設置をはじめ、各種用途への設置を通して技術実証と設置・施工方法の確立を進めていく。並行して、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のグリーンイノベーション基金を活用し、1m幅での製造プロセスの確立、耐久性や発電効率のさらなる向上に向けた開発を進め、2025年の事業化を目指すとしている。

新型太陽電池

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