令和5年の新春を迎え、謹んでお慶び申し上げます。
昨年を振り返りますと、ロシアによるウクライナ侵攻の不確実性が最大のリスクとなる中、世界情勢の不安定化など先行きが不透明な状況が続いているものと思います。世界的にみれば、中国のゼロコロナ政策の影響、欧州の景気後退顕在化、北米経済の先行き不透明感の高まりで、予断を許さない状況は変わらず、経済が元の水準に戻るには時間を要するものと思われます。
さて、昨年の日本経済ですが、新型コロナウィルス感染症は、変異や流行の波を繰り返し、未だ収束には至っていませんが、ワクチン接種、感染対策の徹底などによりウィズコロナが浸透し、経済活動は徐々に正常化しつつあり、内需を中心に持ち直し傾向にあると思います。昨年の4~6月期のGDP成長率は、前期比+1.1%(年率+4.5%)とプラス成長となりましたが、12月8日に発表されました7~9月期のGDP成長率は、前期比-0.9%(年率-3.6%)と2四半期ぶりにマイナスとなりました。足元では、主原料や資材価格の高騰、円安など各産業で供給面の制約が広がっており、経済環境は依然厳しいものがあるものと思われます。
このような情勢下、ゴムホース業界におきましては、実体経済の動向を見据えながら、市場の変化と需要動向へ機敏に対応しつつ、継続的な変革にチャレンジし続ける企業経営が肝要であると考えております。
昨年のゴムホースの生産は、自動車用ホースがほぼ横ばい、その他用ホースが微増、高圧用ホースが、前年実績を大きく上回る見込みです。ゴムホース全体の年間生産量(新ゴム量)は、前年比1.7%増の32,918トン、出荷金額は前年比1.8%増の1,404億円といずれもわずかではありますが前年を上回る見通しです。
次に、昨年の輸出入の状況ですが、輸出は全体の約43%を占めるアジア向けが前年比約14%増。北米向けも前年を上回り、年間の総輸出額は、前年比約13%増の519億円を見込んでいます。輸入につきましては、主力の自動車用ホースを始め、各品種とも前年を上回り、年間の総輸入額は前年比約29%増の195億円の見通しです。急激な円安も大きく影響しています。
本年のゴムホースの生産予測量は、前年比5.4%増となる34,690トン、出荷金額は前年比5.7%増の1,484億円になるものと予測しています。
品種別には、生産構成比約70%を占める自動車用ホースは、半導体不足、部品の供給不安解消により四輪車生産台数が増えると見込み、年間生産量は前年比6.8%増と予測しています。
構成比約15%の高圧用ホースに関しましては、土木建設機械・工作機械の高レベルの需要が継続するものと見込み、生産量は前年比4.4%増との予測を立てています。
構成比約15%のその他用ホースは、一般汎用ホース(空気、酸素、アセチレン等)、耐油・耐摩耗・ケミカルホースの一般産業分野での需要が安定基調で推移すると見ており、年間生産量は前年比ほぼ横ばいと予測しています。
以上の如く、本年のゴムホースの生産量は、昨年を上回るレベルで推移するものと予測しています。
次に本年の輸出入について申し上げますと、輸出が537億円、輸入が200億円と、いずれも前年を上回るものと予測しています。
このような業界動向の中で、当工業会は、国際化の進展に伴い、平成12年にISO機関のホース部門(TC45/SC1)で正式メンバー(Pメンバー)となり、日本の実状や考え方をISOに反映させるよう積極的な働きかけを実施して参りました。
昨年は、一昨年に引続きWeb開催となりました、第70回ISO/TC45国際会議に技術委員が参画し、プロジェクトリーダーとして積極的な提案を行うことで成果を上げました。本年も第71回国際会議に参画し、Pメンバーとしての更なる活動を推進して参る所存であります。
何かと不透明感が払拭されない、変化の激しい環境下ではございますが、当工業会と致しましては、様々な産業分野における重要な機能部品であるゴムホースを供給することを通じて社会的責任を果たすとともに、社会に貢献する価値の創造を積極的に努めて参る所存でございます。
末筆ながら、本年が皆様にとって飛躍の年になりますことを祈念し、新年のご挨拶とさせていただきます。