2022年2月に侵攻が始まったウクライナ紛争は、原油、天然ガス、石炭等の価格高騰を誘発し、原燃料の調達不安や物価高騰を引き起こしました。また11月のCOP27では、これまでの交渉フェーズから実施フェーズに移行する中、気候変動による「損失と被害」を初めて正式な議題として取り上げました。地政学リスクの高まりや、カーボンニュートラル、グリーン・トランスフォーメーションの流れ、デジタル社会への変革など、地殻変動とも言える大きな変化が進んでいます。
プラスチック業界に目を向けると、昨年は各国でプラスチックの使用制限や生産禁止の法制化やその検討が進みました。日本では『プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律』が2022年4月1日に施行され、様々な業界で検討が進められています。プラスチック製品の製造段階での環境配慮設計の指針が示されるとともに、自治体や事業者が策定するプラスチックの再資源化・再商品化計画に対して国による認定制度を設け、認定されるとプラスチック製品の廃棄や輸送における廃棄物処理法の業許可に対して、本法律により当該業許可が免除される規定を設けるなど、新たな視点によるいろいろな施策が盛り込まれております。国による認定といった具体的な動きは現時点ではあまり見えておりませんが、今後はプラスチック資源の循環がより一層推進されると思われます。
当連盟は、2021年5月の総会で新たな4ヵ年計画を策定しました。その中で最重点実施項目として①プラスチック資源循環戦略の強力な遂行、社会実装化、②プラスチックのイメージアップ、③規格における日本からの主体的・積極的な主張発信、の3つをあげております。資源循環については、当連盟が2019年に独自に策定したプラスチック資源循環戦略に基づき、4つのワーキンググループを立ち上げてさまざまな検討を行ってきました。例えばPETに関しては全国的にボトルtoボトルが進む中、検討対象をボトル以外のシート、繊維等まで広げて対策を検討していますし、PSについては現状や課題の整理をほぼ終え、本年3月をめどに中間取りまとめを行い、今後の活動方針を策定することとしています。
②のイメージアップについては、必要とされる情報をより広くより的確に伝えることを主目的に、当連盟ホームページの全面改定検討を進めてきました。本年4月に予定している全面改定では、より魅力的なコンテンツを提供し、当連盟のモットーである「正しく理解していただき、賢く使っていただく」の理念のもと、プラスチックのイメージを少しでも向上できるよう、引き続き努力してまいります。
③の規格関連については、昨年もコロナウイルス蔓延により、3年続けてISO国際会議はweb方式となりましたが、積極的に日本からの規格開発推進に努めました。今後もリサイクルに関する規格開発等を日本主導で推進し、日本企業の新規市場展開を支援することを目的に、「流体輸送用プラスチック管、継手およびバルブ」(TC138)、「プラスチックの機械的性質、物理・化学的性質等」(TC61)を中心に国際会議に委員を派遣し、具体的な規格の提案を進めてまいります。
冒頭に述べた世界的な大きな変化の中で、当連盟はプラスチック業界の事業活動の一助となるような情報の発信に一層努めてまいります。
最後に、皆様のますますのご繁栄とご健勝を心よりお祈り申し上げ、年頭のご挨拶といたします。