謹んで新春のお慶びを申しあげますとともに、旧年中に賜りましたご厚誼に対し心より御礼申しあげます。
平成24年の年頭にあたり、一言ご挨拶申しあげます。
昨年は東北地方に甚大な被害をもたらした東日本大震災や、西日本を中心に被害をもたらした大型台風による豪雨、日系企業の多くが浸水被害を受けたタイの洪水など、大規模な自然災害が続き、国内外のゴム・樹脂ベルト産業も影響を受けました。
震災関連では、石炭火力発電所や製鉄工場の設備復旧でコンベヤベルトの緊急需要がありましたが、その一方自動車減産の影響で伝動ベルトの需要が一時減少しました。タイの洪水被害も、今後、ゴム・樹脂ベルト産業にどのように影響してくるのか懸念されるところです。
さて平成23年度の生産予測ですが、ゴムベルトの生産量は3万1171㌧の見込みとなりました。23年度は、大震災や台風など自然災害の影響を受けましたが、後半には復興需要や活発な資源国向けの需要に支えられ、3年ぶりに3万トンの大台に乗る見通しです。内需は2万1446トン(同101%)、輸出は9725トン(同129%)の見込みです。
平成24年度のゴムベルト生産量予測は、3万3305トン(同107%)としました。リーマン・ショックの影響がまだ僅かだった平成20年比でも100%となり、好調時の生産量に回復できる見込みです。その内訳は、内需が2万1038トン(同98%)、輸出が1万2267㌧(同126%)です。内需は経済環境が好転せず微減の見通しですが、輸出は資源国向けを主体に伸長する予想です。ただし円高の継続や原材料の高止まり、需要先の海外生産シフトなど先行きは不透明といえます。
コンベヤベルトの平成23年度の生産量は1万7339トン(同117%)の見込みです。その内訳は、内需が9299トン(同102%)、輸出が8040トン(同140%)です。内需は石炭火力向けなど震災復興需要もあり前年比微増の見込みです。輸出は旺盛な資源国需要に支えられ大幅に増加する見通しです。輸出の増加により1万7000トンの大台を確保できる見通しです。
24年度の需要予測は、1万9797トン(前年比114%)としました。2年連続の2ケタ増で2万トン台に迫る生産量を見込んでいます。その内訳は、内需が9261トン(同100%)で横ばい、輸出は1万536トン(同131%)と大幅に増加し初めて1万トンの大台に達する見通しです。輸出は資源国の増大する需要で大幅な伸長が見込まれています。
伝動ベルトの平成23年度の生産量は1万3832トン(同100%)の見込みです。その内訳は、内需が1万2147トン(同101%)、輸出が1685トン(同95%)です。需要の約半分を占める自動車生産が大震災やタイの洪水などにより影響を受けましたが、一般産業向けなどが比較的好調に推移し、前年並みの生産量が確保できる見込みです。
24年度の需要予測は1万3509トン(同98%)としました。その内訳は、内需が1万1777トン(同97%)、輸出が1732トン(同103%)です。タイの洪水など自然災害や円高による影響が続き第1四半期は低調ですが、第2四半期より徐々に回復すると思われます。年間では、第1四半期の影響で前年割れが予想されます。
樹脂ベルトの平成23年度生産量は104万2496㎡(前年比104%)の見込みです。その内訳は、内需が97万7741㎡(同103%)、輸出が6万4755㎡(同117%)です。主要需要先の食品・食品機械の底固い需要ともに樹脂ベルトの生産量も増加し、100万㎡の大台を2年連続で確保する見込みです。
24年度の需要予測は112万2986㎡(前年比108%)と110万㎡の大台を確保する見通しです。その内訳は内需が106万387㎡(同108%)、輸出が6万2599㎡(同97%)です。食品・食品機械向け需要は底固く、精密機械などその他の需要も順調に回復してくると期待しています。
ここ数年来、ベルト業界を取巻く環境は極めて厳しいものがあります。継続する自然災害の影響、主要需要先の海外生産へのシフトと内需の低迷、原材料価格の高止まり、
一方輸出関係は、ギリシャ発の欧州金融不安、円高による輸出環境の悪化等、乗り越えなければならない課題が多々あり予断を許さない状況です。
このような環境下、当ベルト工業会では、経済政策や、需要先動向等を的確に把握しタイムリーなデータサービスを行う一方、コンべヤISO規格国際幹事として日本の考え方をISOに反映させ日本規格の国際化を推進する等、尚一層のベルト業界発展のため貢献してまいります。
内外ともにこの1年が良い年となり、皆様がますますご発展されますことを心から祈念いたしまして、新年のご挨拶とさせていただきます