TOYO TIREは12月14日、セルビア共和国のインジヤ市に欧州初となるタイヤ生産拠点の開所式を現地で開催した。
新工場は欧州での地産地消を推進するとともに、主力市場である米国市場への供給基盤としても活用し、グローバルな成長戦略を実現する足掛かりとしていく。投資総額は約488億円。2023年下期には年産約500万本のタイヤ生産体制を確立する。
今後は同社8拠点目となる新工場と2019年11月に開設した欧州R&Dセンターを連携させ、コスト競争力と高い技術力を追求し、市場競争力の高い商品供給を図っていく。
開所式の後に記者会見が行われ、清水隆史社長のほか、井村洋次TOYO TIREセルビア社長、光畑達雄取締役執行役員販売統括部門管掌、守屋学取締役執行役員技術統括部管掌、栗林健太執行役員TOYO TIREホールディングスヨーロッパ社長ら4名が出席した。
清水社長は新工場開設の狙いについて「2017年度の中計発表時から世界的に見るとタイヤ需要は堅調に推移しており、日本、アメリカ、中国、マレーシア拠点からの生産体制では世界の需要に追いつけなくなるのではないかという懸念があり、生産供給体制を充実させなければならないという事が念頭にあった」とし、「世界地図を広げて、当社の供給体制を考えた時に空白になるエリアが欧州だった。欧州で販売しているタイヤは日本やマレーシア工場から輸出しており、船便で1ヶ月以上かけて運搬するだけでなく、一部では関税も多くかかっていた。中東やアフリカエリアにも日本から運搬するより、欧州から運搬した方が供給体制をより地産地消に近づけることができる事などから欧州に生産拠点が必要だという判断に至った」と説明した。
その後、同社の戦略に沿った物流や供給体制、人材の確保など様々な観点から候補地を検討した結果、2019年にセルビアの地に工場を建設することを決定した。
欧州戦略については「新工場稼働により、欧州の顧客に対して、地産地消でタイヤをタイムリーに供給できる事で欧州での戦い方が大きく変わる」と期待を寄せた。
来年下期には、年産500万本のフル生産体制が整備される。清水社長は「欧州での地産地消を推進し、主力の米国市場向けにコスト競争力のある高い商品を戦略的に供給し、存在価値の高い工場に成長させていく」と意気込みを語った。
セルビア工場の生産体制が整備されると、これまで欧州向けにタイヤを生産していた日本やマレーシア工場でも、それぞれの地域に合わせた地産地消を推進していく事も可能となる。日本工場では設備更新を都度行っており、今後は高付加価値商品の生産能力増強を進めていく。