開所式の後には、新工場の混合工程、材料工程、成型工程、加硫工程などの主要工程設備を順次見学した。
清水社長は記者会見で「セルビア工場では最新の技術を導入して生産管理の効率化を図ることでコストパフォーマンスの高い製品をスピーディーに供給できる」と新工場の特徴を説明した。
新工場では、IoTの「MES(Manufacturing Execution System)」を導入し、最新鋭のスマート工場を確立させ、生産効率化を図る。これにより、国内工場の生産能力と比較すると約3割の省人化が可能になる。
ゴム加工設備では、2階立てのゴム練り機を導入し、加工が難しいコンパウンドの開発に対応する。
材料工程成形工程では、センサーを有効活用し、部材のプロファイル、貼り付けの精度等を連続的に測定管理することで、安定した高品質なタイヤの製造が可能となる。
また、工場敷地内には直線距離720メートル、周回1690メートルとなるテストコースも設置している。 路面はウェットグリップ路面と通過騒音路の2種類があり、路面の粒度などはISOで定められた認証路面となるため、敷地内にあるテストコースで欧州の法規認証を評価することが可能となっている。
ウェットグリップ路面では、水深1ミリのウエット路面に対して、80キロの速度で自動車が侵入し、フルブレーキで20キロまで減速した際の制動距離を測定している。通過騒音路では、エンジン音が測定されないようにエンジンを停止した状態の80キロの惰性走行での通過騒音を測定している。
実車装着での走行テストを行ない、欧州地域で細かく定められている法規制認証に対応した評価をスピーディーに実施することで、魅力ある製品をよりタイムリーに供給していく。
さらに、新工場には太陽光発電システムも設置されている。設備容量は8・4MW、年間発電量は1万150MWH。パネルの設置面積は8万9000平米。「設置面積は東京ドームの敷地面積の約2倍となり、セルビア国内では最大級のソーラーパネル発電システムとなる。CO2削減量は年間7100t削減できる見込みとなる」(井村洋次TOYO TIREセルビア社長)
また、全工程にエネルギー管理システムを導入することで、生産中に消費されるエネルギーの見える化と最適化を図り、省エネルギーに繋げていく。