ブリヂストンは12月21日、第12回ブリヂストングループ・グローバルTQM大会を開催したと発表した。同大会は、「最高の品質で社会に貢献」を使命とするブリヂストンにおいて革新的な改善事例をグローバルで共有し、相互研鑽することで、当社グループ全体の品質意識向上とTQM活動のレベルアップを図り、持続的な社会価値・顧客価値の創出につなげることを目指し開催されている。
2022年は、世界各地域・事業所から応募された改善事例の内、最終選考として16件が発表され、インドやブラジル、日本などの計9つの事業拠点が表彰された。
そのうちグランプリを受賞した北九州工場(福岡県北九州市)では、デジタル技術で暗黙知を見える化し、スキル向上の改善を行った。過酷な使用環境に対応するため高品質・高性能が求められる超大型の鉱山車両用タイヤの製造には、高い技術力が求められる。特に、タイヤの様々な部材を組み立て、タイヤの原型(生タイヤ)を作る成型工程は、技能員の高度な熟練の技に支えられている。こうしたモノづくりにおける「匠の技」は、多くの場合、標準化が難しい暗黙知となっている。例えば、タイヤの骨格部材であるプライ(内部に金属コードが均一に並んでいるゴムのシート)を専用のナイフでカットする工程では、内部の金属コードのわずかな隙間に「絶妙な角度」でナイフをプライに差し入れ、ブレなく素早くカットする技術が求められる。暗黙知となっているこの「絶妙な角度」を技能員が習得するために要する期間を、いかに短縮できるかが課題となっていた。
この暗黙知を見える化するため、北九州工場では1年以上にわたり、3Dカメラとモーションセンサーを活用したモーションキャプチャーにより、熟練技能員のナイフ角度をデジタル技術を用いて分析し、絶妙なナイフの角度を標準化した。この標準に基づいた訓練を実施することで技能員ごとの習熟度のバラつきを抑制するとともに、プライカットを担当する技能員の養成に必要な期間を従来の約半分に短縮することが可能になった。