年頭所感 日本ホース金具工業会 蜷川広一会長

2023年01月03日

ゴムタイムス社

 2023年の新春を迎え、謹んでお慶び申し上げます。

 昨年も引き続き全世界が新型コロナの影響を受けた一年でした。一方で新型コロナへの対処が日々進化し、経済活動も徐々に正常化されて景気の緩やかな持ち直しも感じます。しかしながらロシアのウクライナ侵攻による国際的な政情不安、半導体を始めとする部品の供給不安や原材料価格の高騰、世界経済の減速、急激な円安などが懸念材料となっており、取り巻く環境は依然として厳しい状況です。

 昨年の我が国に関わる主な出来事は、海外ではロシアのウクライナ侵攻、北朝鮮の過去最多のミサイル発射、国内では安倍元総理への銃撃事件とショッキングな出来事が相次ぎました。一方明るいニュ-スは、冬季北京五輪で日本人の大活躍による過去最多18個のメダル獲得、ヤクルトスワローズ村上宗隆選手の王貞治氏を抜く年間56号本塁打、MLB大谷翔平選手が二刀流で過去に類のない大活躍、サッカーワールドカップカタ-ル大会で森保ジャパンが強豪国ドイツとスペインを撃破してグループ首位で決勝トーナメントに進出したことなど日本人アスリートの大活躍が日本中を感動の渦につつみました。

 12月8日に発表された2022年7~9月期の実質GDP成長率は、前期比0・2%減(年率換算0・8%減)でした。円安の進展や原材料価格の上昇によって実質購買力が低下し個人消費を押し下げたことが主な要因となった一方で民間企業による在庫積み増しが押し上げ要因にはなっています。11月の内閣府の月例経済報告では『ウィズコロナの下で、各種政策の効果もあって、景気が持ち直していくことが期待される。ただし、世界的な金融引締め等が続く中、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっている。また、物価上昇、供給面での制約、金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要がある。』と先行きを予見してます。

 大手需要先である建設機械(本体合計)は、1~10月累計で国内が前年同期比3・4%増、輸出が同25・0%増、合計が同17・3%増でした。直近の10月は、国内が1・7%増と4カ月連続の増、輸出は30・8%増で24カ月連続の増加、合計では20・6%増で24カ月連続の前年同月比プラスとなりました。

 工作機械の1~10月受注額は、国内が前年同期比26・0%増、輸出が同14・4%増、合計は同18・1%増で24カ月連続プラスとなりました。国内は全11業種中10業種が好調で、輸出は欧州向けが前年同期比10・3%増(構成比19・7%)、アジア向けが同8・2%増(構成比48・3%)、北米向けが同28・7%増(構成比29・9%)となっています。

 さて、当工業会の需給状況ですが、2022年1~10月の出荷実績は528億円(前年同期比97%)となっています。内訳は産業用ゴムホースが410億円(前年同期比98%)、自動車用ゴムホースが31億円(同90%)、樹脂ホースは62億円(同102%)、付属金具は25億円(同86%)でした。

 今年は、諸外国に比べてコロナ禍からの回復が遅れていた分、回復余地が残されていることもあり、欧米と比較すれば目先の景気は底堅く推移する可能性が高く、原材料高など景気の行き先に不透明な状況には変わりないものの、産業機械や半導体業界の好調さを背景に再生の良い年になることを祈念しております。

 ISO/TC45(液圧用ゴムホース及びプラスチックホース)関連では、昨年10月に奈良で開催予定の国際会議は中止となり、一昨年と同様Web会議での開催となりました。国内審議会は一昨年同様Web会議で4回の会議が開催されました。
 ISO/TC131(油圧・空気圧システム及び要素機器)関連では、昨年10月に姫路で開催予定の国際会議はWeb会議となりました。国内審議会は一昨年同様Web会議で4回の会議が開催されました。
 本年は、TC45、TC131ともに国際会議が無事開催され、日本の考え方をISOに反映させて日本規格の国際化を推進する活動を更に進めて参りたいと存じます。

 当工業会では、これからも会員相互の発展を促進する為、技術の向上並びに普及を図り、公共の安全を確保すると共に、関連業界の発展のために努力して参ります。

 年頭に当たり、業界の益々のご繁栄と皆様方のご健勝を祈念申し上げますとともに、倍旧のご支援を賜りますようお願い申し上げまして、新年のご挨拶とさせて頂きます。

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