企業特集 港プラスチック工業 長年の蓄積と多能工のアクリル加工

2022年12月26日

ゴムタイムス社

企業特集

長年の蓄積と多能工のアクリル加工 従業員同士の関係を重視して

港プラスチック工業

 アクリル製品の加工を手掛ける港プラスチック工業(東京都港区、横井輝民社長)。同社の沿革や今後の方針などについて、同社の3代目社長である横井氏に話を聞いた。
 ◆御社の沿革について。
1959年(昭和34年)に港区白金で創業。創業当時は硬質塩化ビニール製の工業部品や看板の加工を手掛けていたが、80年代以降は化粧品を展示する店舗ディスプレイの製作を中心に各種アクリル加工に特化した事業を展開している。
 ◆港プラスチックの強みを挙げると。
 図面のない状態からでも顧客から頂いたアイデアを具体的な製品に落とし込める提案力が強みだ。長年の蓄積による対応力だけでなく、営業が顧客からの要望を聞き取り営業自身で図面化するなど現場対応力も高めている。
会社が港区に所在している事も納期短縮などのメリットに繋がっている。弊社の主要取引先である大手化粧品会社の管理部門などに素早く試作品を提供したり、営業が聞き取りした改良品を翌日に納入するといったスピーディな展開も可能としている。
 製造面では、職人がアクリル板の切り出しから仕上げまでの全工程を一貫して担当する多能工での生産体制を採用しており、職人が全工程の流れを独りで担当することで、全工程に責任を持ちながら製作にあたる事ができるため、品質の向上にも繋がっている。
 ◆人材育成について。
 現在、従業員数は12名。この業界では珍しく全員正社員採用をしている。営業部・製造部ともに全従業員に3年以上の勤務経験があり、製造部では勤続20年以上のベテラン熟練工も在籍している。近年は人手不足や世代交代の必要性を感じており、新規人材の採用にも積極的に取り組んでいる。新入社員にも業務内容を制限することなく、出来る限り幅広い業務に取り組んでもらうように指導しており、もの作りを楽しめる人ならば、やりがいを感じられる職場環境だと感じている。
弊社は創業当時から従業員の幸せを大切にすることを理念として受け継いできており、会社の基本は人と人との関係だと思っている。決算書も従業員に積極的に開示しており、従業員の経営参加意識を高めるだけでなく、全体の業績が良ければ均等な形で皆に分配もしている。今後も社員同士が進んで協力し合い、自由に建設的な議論を交わす良好な組織を築いていきたい。
また、広報活動としては毎週火曜日にフェイスブックを更新している。フェイスブックでは製品情報や展示会の出展告知だけではなく、採用活動の一環として社員や社内の製造風景の紹介もしている。社内の雰囲気が伝わってより身近な存在に感じられる発信となることを心がけている。
 ◆今後の会社の展望について。
 コロナ禍で百貨店での化粧品販売が激減したことに伴い、化粧品ディスプレイ関係の売上が減少傾向にあるので、展示会の出展や地域イベントへの参加などを通じて新規顧客獲得に積極的に取り組んでいく。既に展示会出展などにより、プリザーブドフラワーの展示用ケースやシャワーヘッドの実演販売に使う水槽など弊社が想定していなかった分野での獲得にも繋がっている。これら取り組みを通じて、2~3年後には新規顧客の売上比率を1割近くにまで高めていく方針だ。また、UVダイレクトプリンターなども導入し、今までできなかった製造分野も受け持ち、顧客対応力を更に高めていきたい。

横井輝民社長

 

 
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