■ 新年インタビュー
カーボンニュートラル取り組みを加速
日本ゴム工業会 清水隆史会長
カーボンニュートラルの実現に向けた取り組みを強化する日本ゴム工業会の清水隆史会長。22年を振り返りつつ、会員の取り巻く環境、カーボンニュートラルへの対応、ISO/TC45国内審議委員会の活動、23年の抱負などについて清水会長に聞いた。
◆22年を振り返って。
近年は行政の動向に対応することが多くなった。今年は会員各社でサプライチェーンに関するパートナーシップ構築宣言を行い、下請法の振興基準の改正に伴い、2020年に化学産業6団体で制定した「化学産業の適正取引の推進と生産性・付加価値の向上に向けた自主行動計画」を見直した。
環境関係では、経団連等の動向と連動して対策を行っており、現在、地球温暖化、廃棄物、VOCの3つの自主行動計画のフォローアップ調査を実施している。そのうち、地球温暖化関係では、2050年のカーボンニュートラルを目指す「長期ビジョン」のマイルストーンとして、2030年度の新目標を設定したが、2021年度は生産量が増えたにもかかわらず、CO2排出量の伸びを抑えることができた。
外国人技能実習制度については、当初コロナ禍の影響が大きく、技能実習評価試験の受検者数を70人程度と見込んでいたが、10月に入国制限が緩和されたため、年度末で300人程度が受検を申し込む結果となった。今回の増加が一時的なものかどうかを見定め、組織の体制作りを進めていく。
ISO/TC45の国内審議委員会は、2022年も引き続き「日本のゴム関連企業が有する優れた技術力と高い品質を示すことができ、日本製品の優位性を見える化する」を命題に規格開発を戦略的に進めてきた。国際会議では、日本から2件の新規の規格を提案し、好意的な反応が得られ、2023年以降の新規開発テーマとして投票が始まることが決定している。
◆会員企業を取り巻く環境について。
10月に実施した中小企業会員の景況調査の結果を振り返ると、現在の課題として、原材料価格の上昇が目立ち、昨年以上に原材料価格の高騰、原材料の供給不足を課題として挙げる企業が多くなっている。原材料調達の困難さが浮き彫りになった。さらに、ロシアのウクライナへの侵攻でエネルギーコストや副資材等の高騰にも苦慮している。そのほか、円安の影響も大きい。円安は輸出企業にはメリットだが、輸出をしない企業は負担が大きい。会員の大部分を占める中小企業の業況は決して良いとは言えないのではないか。
◆カーボンニュートラルへの取り組みは。
2022年1月に2050年の