タイヤリサイクル・再生ゴム特集 村岡ゴム工業 バックアップ需要が売上に寄与  輸入品との差別化を図る

2022年12月27日

ゴムタイムス社

 日本再生ゴム工業会がまとめた22年1-9月の再生ゴム生産・出荷によると、生産・出荷ともに前年比で5-6%の減少となっており再生ゴム業界も他のゴム関連業者と同様に厳しい環境下に置かれている状況だ。

 国内のタイヤ再生ゴム業界で高いシェアを占める村岡ゴム工業(千葉県市川市、村岡良亮社長)の22年9月期を振り返ると、需要の約7割を占めるタイヤ向けの出荷数量は、半導体不足により継続している自動車メーカー減産の影響から、新車向けの動きが鈍く、大きなマイナス要因となった。
 ただ、輸出向け乗用車タイヤ、トラック・バス用タイヤ及び鉱山・運搬用タイヤの生産は堅調に推移し、新車向けのマイナスをカバーする結果となった。

 またタイヤ向け以外の工業用品・自動車部品向けは、前年並みの動きであるものの、ゴム板メーカー向けが市場低迷に伴う在庫調整実施等の影響を受け出荷が減少した。22年春に大手海外再生ゴムメーカーが操業停止となり、急遽、その分のバックアップ需要が発生し現在も継続しており、この分が売上に大きく寄与することとなった。
 その結果、22年9月期の売上は前期比で微増を確保するも、収益は再生油剤や電力料金の急激な上昇によるコスト上昇分を吸収することができず減益となった。

 輸入再生ゴムの国内市場動向では、主力であった中国製がコロナ対策等国内の不安要因が重なり供給が不安定となる一方、コロナ禍の最悪期を脱したインド製再生ゴムが中国製に取って代わりシェアを拡大している。

 円安の影響について、同社は「再生ゴムの年間国内生産は14,000~15,000t、輸入品の年間輸入量は7,000~8,000tとなっており国内市場供給量の1/3程度が輸入品となっている。輸入品は価格の優位性を前面に出し市場拡大してきたものの、昨今の為替動向により価格上昇が顕著で、コロナ禍による供給不安の発生もあり需要家での見直しが進んでおり国内品に切り替わるきっかけに繋がるのではないかとし、今後の為替動向、供給動向を注視していく必要がある」と見ている。同社は「供給の安定」や「品質の安定」をPRしていくことで輸入品との差別化を図っていくとしている。

 従来のタイヤ再生ゴムに比べ50%強度を高めた「高張力タイヤ再生ゴム」は顧客サービスの差別化の一環として販売を強化している。同製品の出荷実績は着実に伸びており、「今までは、製品のラインナップのひとつとして提案していたが、今ではお客様の環境への意識の高まりから、引き合いは増えている」(同)。今後も、再生ゴムを購入する顧客の選択肢を増やし、需要開拓をさらに進めていく考えだ。

 「今年に入り工場発生スクラップゴムの再資源化の問い合わせが急増している。SDGSや脱炭素及び循環経済への取り組みが問われる社会的圧力の高まりによるもので、これらの要望には可能な限り対応していく」(同)としている。
 足元では、再生油剤などを含めた原材料や電力コスト等の上昇が継続しており、これらが引き続き収益を圧迫する厳しい環境が続くも「年明け以降、自動車メーカー及びタイヤメーカーが徐々に生産を上げていくとの情報がある」(同社)とし、売上は前年比プラスを見込んでおり、収益も前年並以上を目指していくとしている。

干潟工場

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