積水化学工業は12月26日、同社の高機能プラスチックスカンパニー開発研究所エレクトロニクス材料開発センターが開発している仮固定テープ「耐熱セルファ」の研究成果が、台湾で最大の半導体パッケージとPCB(Printed Circuit Board)の国際学会「IMPACT」でBest Paper Award(最優秀論文賞)を受賞したと発表した。
IMPACT2022では約150件の論文発表および約40件のポスターセッションがあり、優秀な論文・ポスターがBest Paper AwardとしてPackaging部門とPCB部門に分かれて表彰される。同社はPackaging部門にてBest Paper Awardを受賞した。日本企業では唯一となる。
同社は、これまで半導体製造用仮固定テープ「セルファ」を上市し半導体メーカー各社に使用されているが、従来のテープでは高温下で熱分解を起こしたり、接着力が上がりすぎてしまい、熱処理後にテープをシリコンウェハーから剥がすことができず、ハイブリッドボンディングへの適応に課題があった。この課題を克服すべく、テープの原材料から見直しを行い、耐熱性を高めながらも、接着力を制御できるよう改善した結果、ハイブリッドボンディングに対応できる300℃の耐熱性を有する仮固定テープの開発に成功した。支持基板を外す工程ではレーザーを照射することにより、容易に支持基板を外すことができ、その後仮固定テープをシリコンウェハーからも容易に剥離可能となり3次元実装技術への貢献が期待できる。
3次元実装の新しい概念の半導体は高性能かつ低消費電力が実現できるだけでなく、半導体製造の歩留まりロスも少なく作れるため、CO2排出量の削減と資源の有効活用が可能な、地球環境に優しい技術となっている。同社は、今後3次元実装の技術革新に寄与することにより、豊かで便利な暮らしとサステナブルな社会の実現に貢献し、2026年に上市、2030年に20億円の販売を目指すとしている。