■ 新年インタビュー
全方位で受注拡大へ
ニチリン 前田龍一社長
「新型コロナウィルス前の活気ある社会に戻ることを期待したい」と新年の抱負を語るニチリンの前田龍一社長。国内外拠点の状況や電動化への対応について前田社長に聞いた。
◆22年を振り返って。
コロナの感染拡大は続いたが、各国で行動規制が緩和され、世界経済が回復基調で推移した。一方、インフレによる各国の金融引き締めやロシアのウクライナ侵攻によるエネルギー価格の高騰など想定外の事態も発生した。また、中国ではゼロコロナ政策により当社の上海拠点が2ヵ月程度、ロックダウンした。
そのような環境下において、当社グループの22年12月期業績は、一部の顧客による挽回生産や、円安進行が業績を押し上げたこともあり、22年12月期通期は売上高、利益ともに計画を上回る見通しだ。
◆国内の状況は。
コロナの影響や半導体部品の供給不足により顧客の生産調整の影響を受けたものの、二輪車用や住設機器向けのホースの売上が伸びたことなどから、国内のビジネスとしては、良かった。また、北米や欧州で手掛けていたビジネスをここ数年で一部、日本に回帰させている。北米ではインフレで人件費上昇が続いているうえ、コロナで人も集まりにくくなっており、生産体制のグローバル最適化として、国内で生産したほうがこの状況を乗り切れると判断した。国内の工場から四輪車用ホースを自動化ラインでアッセンブリして海外に送ることで採算性も改善される。
◆北米や欧州拠点の現況について。
北米では、22年6月に子会社ニチリンフレックスがサイバー攻撃を受けて業務に混乱が生じたほか、輸送費も高騰するなど厳しい1年となった。今回のサイバー攻撃の復旧対応や対策実施により当社の情報セキュリティは、より向上したと考えている。
欧州は
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