世界経済の後退懸念、物価高など先行きの不透明さが漂うなかでスタートした2023年。これら諸問題に加え、ゴム業界ではカーボンニュートラルへの対応やゴム原材料の入手不安なども依然として横たわる。その中、ゴム企業各社トップが年頭に示した訓示には、大きな環境変化に対応し、持続的な成長や飛躍を誓う言葉が相次いだ。
ブリヂストン・石橋グローバルCEO
今年は、中期事業計画(21ー23年)の最終年として、引き続き、実行と結果に拘り、変化に対応できる「強い」ブリヂストンへさらに近づくと共に、今後の成長へ向けた基盤を築く年と位置付けている。変化が常態化するこの時代を生き抜くため、創立100周年となる2031年へ向けて実現したい姿を描いた「2030年 長期戦略アスピレーション」を道筋として将来への布石を打ち、成長を加速していく。
また、サステナビリティを経営の中核に据え、ビジョンである「2050年 サステナブルなソリューションカンパニーとして社会価値・顧客価値を持続的に提供している会社へ」に向け、カーボンニュートラル化、サーキュラーエコノミーの実現などの取り組みを、ビジネスモデルと連動させながら加速していく。
住友ゴム工業・山本社長
20年2月に中期計画を発表して以来、新型コロナウィルスの感染拡大に伴う制約や米国のアンチダンピング関税、自動車のEV化加速など、当社の事業環境は大きく変化してきた。事業環境変化と将来予測を踏まえ、新中期計画の策定を進めてきた。収益力を高めるための企業変革を優先事項とし、全社で実行していくとともに、将来あるべき姿を実現するために必要な備えや種まきも並行して取り組む計画だ。その中、当社ではこれまでBe the Changeプロジェクトを通じて経営基盤強化に取り組み、会社全体に変革を生み出してきた。これらの活動から得られた経験やスキルを今後のさらなる変革に活かしたいと思う。
横浜ゴム・山石社長
当社は21年から23年の3か年を中期経営計画「YX2023」を推進しており、我々が強みとして持つ既存事業の「深化」と100年に1度の大変革期である市場変化の取り込み、つまり「探索」を同時に推進することにより過去最高の業績達成を目指したい。
YX2023の最終年となる今年は、世界的な景気後退懸念、半導体不足による自動車生産の混乱、原材料価格・海上運賃の高止まり、ウクライナ情勢など、より一層厳しい経営環境になると予想される。その中で、当社は23年年初より本社機能の平塚移転をスタートさせた。これを機に社員一同、皆様のご期待に添えるようより一層励んでいきたい。
TOYO TIRE・清水社長
現在進行している当社の中期経営計画では、「変化に迅速・柔軟に適応する力の強化」という方針を掲げている。決して受け身になるのではなく、世の中で起こっていることや、グローバルでの標準を知り、それを自分たちのものとして使えるようになることが、変化へ柔軟に対応している証だと考えている。
今年は2025年をターゲットに置いた、中期経営計画の折り返し地点になる。下期にはセルビア工場のフル生産体制を控えるなど、これまでしっかりと準備してきたことを実行に移して成長していくターニングポイントを迎えている。「転機を掴み、成長へつなげる年」。今年はこれまで蓄積してきた取り組みの成果を発揮するタイミングを掴み、成長へとつなげる年にしたいと思う。
豊田合成・小山社長
地球温暖化対策への機運が高まり、車の電動化などが急速に進む中で、将来にわたる持続的な成長を実現するには、事業の変革が不可欠となっている。今年はこの環境変化を好機とし、具体的な成果につなげていくため、社会課題解決に貢献する諸施策に『迅速果敢』に取り組む年とし、①ゴムや樹脂分野のコア技術を活かし、脱炭素、循環型社会の構築に貢献する「CO2低減とリサイクルの加速」。②電動車、自動運転車に求められる「機能や意匠ニーズの変化を捉えた製品開発」。③DXなどを通じた「従来の方法に捉われない業務遂行」などに注力していく。
住友理工・清水社長
近年、サステナブルな社会の実現に向けて、カーボンニュートラル達成への社会的な要請が大きな高まりを見せている。当社グループでは、主力の自動車用防振ゴム・ホースを中心に、⾧年にわたる研究開発を通じて磨いてきた技術力をもとに、電気自動車(BEV)や燃料電池自動車(FCEV)向け製品の開発に注力する。コアコンピタンスである「高分子材料技術」「総合評価技術」を駆使し、既存の枠にとらわれない新技術・新製品の開発を加速させていく。
バンドー化学・植野社長
当社グループでは、現中長期経営計画が最終年度を迎え、新年度の4月から新しい中長期経営計画がスタートする。初年度となる2023年は、グループの一人ひとりが能力を最大限発揮し、これまで乗り越えられなかった壁に勇気をもって挑戦し、新しい道を切り拓く年にしなければならない。取り巻く事業環境や産業構造が大きく変わる中で、これからも社会に欠かせない存在であることを目指し、ワクワクする未来を実現するための新しい価値を創造し続けいきたい。
三ツ星ベルト・池田社長
当社では昨年5月に見直した`21中期経営計画と、新たに発表した 2030 年度の「ありたい姿」に盛り込んだ政策・戦略により、コア事業では研究開発と技術力をさらに強化。その他既存事業はイノベーションを加速させ、一つの柱となる事業に育てあげていく。また、持続可能な社会の実現に貢献できる会社であり続けられるよう、環境対策をはじめとしたESG経営の推進についても全力をあげて取り組んでいく。