TOYO TIRE 年頭所感 清水隆史社長

2023年01月11日

ゴムタイムス社

 当社の企業力の源泉の一つは「差別化された強みをさらに磨く」ことにある。北米市場では本格的大型SUV、ピックアップトラック向け大口径タイヤなど、特定の領域で圧倒的な存在感を確保し続けているが、製造現場の保全やオペレーション面で十分なケアが行き届かず、昨年はトラブルの壁に当たった。製造業として取り組まねばならない基本的な所作を再点検し、このリカバリをしっかり完遂して強いモノづくりの現場を再構築する。

 2021年からスタートした中計においては、これまで十分に強化できなかった機能基盤を強固にしていこうとしている。欧州に初めてのタイヤ工場となるセルビア工場を開所できたことは、新たな基盤の強化そのものだ。式典には国家の大統領、首相がお祝いに駆けつけてくださり、多くの取引先からも大きな期待を寄せていただいた。世界標準の製造設備によって、欧州で認められる高い性能・品質を備えた付加価値の高い製品を生み出していく。そのために、欧州R&Dセンターでの高度な原材料研究、工場に隣接したテストコースでのタイムリーな検証を生かしていく。欧州統括会社のもと、生・販・技が一体となって新しい一歩を踏み出す2023年となる。

 自ら流通チャネルを持たない当社は、お客様との信頼関係と商品の魅力をブランド力に換えていく必要がある。顧客との強固な信頼関係、そして、確かな商品力は、持たざる強みによる産物であり、大事だと確信している。販売網の変革を推し進める日本、地産地消の付加価値体制が整う欧州、TOYO TIRESブランド販売網の再構築を進めるアジア、どのマーケットにおいても同じことがいえる。

 想定外のことが起こり得る「変化が常態化している」中で、当社は事業を行なっている。物事の本質を見極めるため、常に「原理原則」に立ち返って判断、行動していかなければならない。会社における原理原則とは、理念そのものである。理念に照らして正しい行動、判断を行なっていくことは会社に価値をもたらし、社会に価値をもたらすことにつながる。一人ひとりが社会とつながっていることを自覚し、誇りと責任を携えて仕事をすれば、当社の存在感、パフォーマンスが上がると信じている。

 お客様との強い信頼関係をもとに、絶えず緻密に情報を交換し、機動性の高い対策に打って出ることは、当社の特長ある戦略でもある。変化に耐えうるより強靭な耐性を身につけ、より競争力のある魅力的な商品をお届けするとともに、市場供給の品種構成をハイレベルで最適化し続けていく。愚直に徹底していけば、当社ならではの強靭な収益構造と上質なマーケット確立に結びつく。

 中計で描いた5年後のありたい姿、これをめざす意思、体制に一点のブレもない。2023年はセルビア工場の本格稼働を皮切りとして、新しいステージへとシフトしていくためのターニングポイントとなる。2025年を見据えながら、その折り返しとなる本年を転機として掴み、成長へつなげる年として、役員・従業員一人ひとりが気高い意識をしっかりと持ち、力強く、歩みを進めていこう。

清水隆史社長

清水隆史社長

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