信越化学工業は1月11日、マイクロLEDディスプレイの製造に適用可能な新規プロセス技術を開発したと発表した。
マイクロLEDチップは、一辺の長さが数十ミクロンメートル以下と肉眼では認識できない大きさで、例えば、フルハイビジョンの4倍の解像度を持つ4Kディスプレイを1台製造するには、約2490万個のチップを規則正しく配列させる必要がある。
同社では、これまでマイクロLEDチップの製造工程と各チップの移送工程の複雑さや歩留まりの改善を図るために、同社グループの技術を結集して各種移送部品や移送装置などを開発してきた。
今回、同社が新たに開発したプロセス技術は、デクセリアルズと共同開発したもので、「Φ80μm以下に個片化した異方性導電膜(ACF)をレーザーで狙った場所に転写する画期的な技術」を導入した。この技術により、指定された電極にだけに個片化したACFを飛ばし、LEDチップを搭載することが可能となるため、これまで大きな課題となっていたマイクロLEDディスプレイ製造時のリペアープロセスが容易となる。
また、さらなる生産性の向上や多種多様なチップへの対応などの要望に応えるため、同社は同社グループの信越エンジニアリング、信越ポリマーと共同で以下の移送部品および移送装置を開発し、製品ラインアップを拡充した。これらの移送部品との組み合わせにより、顧客に最適なプロセスを提供することが可能となる。
①硬化型ドナープレート「SQDP―B」シリーズ
②多段形状ドットタイプ6大型スタンプ「EZ―PETAMP」シリーズ
③4つの工程を一台のレーザーで対応可能な4in1装置「Invisi LUM―X4」
④Mini―LEDディスプレイ用BM封止フィルム
同社は、マイクロLEDの製造における「ワンストップソリューションプロバイダー」として課題解決策を提案し、マイクロLEDディスプレイの普及と市場の拡大に取り組んでいくとしている。