東洋紡は1月13日、研究開発の中心拠点である総合研究所(滋賀県大津市)の大規模なリニューアルを実施し、研究開発機能の強化を図ると発表した。第1期工事として「パイロットプラント棟」が完成し、1月12日に竣工式が行われた。
同社は、1931年に東洋紡績(現・東洋紡)化学研究所を設立して以降、時代のニーズに応じて繊維からフィルム、バイオ、高機能素材・製品などへと研究領域を拡大するとともに、新たな製品・技術の研究開発に努めてきた。
1976年、各地の研究所を統合・集約して発足した現在の総合研究所は、中長期的な基礎研究や新規事業の創出を担う「コーポレート研究部門」と、各事業に直結した研究開発を行う「事業部研究部門」からなる、同社グループの研究開発活動の中心拠点となっている。
昨年5月に公表した長期ビジョン「サステナブル・ビジョン2030」で掲げるとおり、同社は蓄積してきた4つのコア技術(「高分子」「環境」「快適性設計」「バイオ・メディカル」)を活用・融合しながら、社会課題の解決に貢献するイノベーションの創出を加速するため、総合研究所の大規模なリニューアルを実施していく。今後、社内外の多様なパートナーとの連携・協業を通じてオープンイノベーションを促進するための研究棟や、新たなソリューションを提案するため研究開発設備の配置自由度を高める大空間構造の施設などを順次新設する予定となっている。
今回、同社が約20億円を投資して新設したパイロットプラント棟は、高機能フィルムを中心とした新たな製品・技術の実用化に向け、試作品の開発や実験などを行う施設となる。最新の防災設備や浸水対策として高床式構造を採用するなど安全・防災機能の充実に注力するとともに、太陽光発電の活用や冷却水の循環利用を促進するなど、環境にも配慮した設計を取り入れた。
1月12日の竣工式には、約30人の関係者が出席した。同社常務執行役員・イノベーション部門統括の大田康雄氏は、工事関係者へ感謝の意を伝えるとともに、今後の研究開発の強化に向け、「待望のパイロットプラント棟が無事に竣工を迎え、社員一同大変喜んでいる」と述べた。