自動運転や軽量化など自動車業界に関する先端テーマの最新技術を集結した「オートモーティブワールド」が1月25日~27日まで東京ビッグサイトで開催された。
◆NOK
「導電ラバーリング」や生体用ゴム伝教「sotto ファブリック+」などモーターやPCU・バッテリーの分野でEモビリティに貢献できる同社製品を紹介した。
導電ラバーリングはモーター駆動時に駆動軸が帯電することで発生する電磁波ノイズの発生や軸受け部の電気による腐食現象である電食を抑制できる。従来のアースブラシやナックルアースによる対策と比べて省スペース化、コスト低減も期待できる。
◆金陽社
今回が初出店となる同社は長年のゴムブランケット・ゴムローラー事業で培ってきた配合技術と加工ノウハウを基礎に開発した「ノンシリコーン熱伝導パテシート」などを展示した。
ノンシリコーン熱伝導パテシートは非シリコーン系材料をベースにしたシロキサンフリーの熱伝導パテシートで、凹凸への追従性に優れ、実装後の反力が小さいことが特徴。サンプルワークを行った企業からは熱伝導性の高さを評価されており、そのうち電源メーカーでの採用が決定しているという。
◆白石カルシウム
宇部マテリアルズと近江化学工業と共同出展した同社は3社共同で開発したフィラーマスターバッチ「セメレイク MB MOSー5G」を展示した。
セメレイク MB MOSー5Gは、宇部マテリアルズの繊維状塩基性硫酸マグネシウム「モスハイジ」を原料に、近江化学工業独自の配合・加工技術で製造を行ったフィラーマスターバッチ。軽量であることを特徴としており、インパネ材料としては業界初となる水に浮く性質を持っている。
フィラー濃度の希釈倍率を自由に選択できるため、物性の調整が可能であり、様々な設計仕様への対応も可能としている。同製品の展開について販売は白石カルシウムが担当する。すでに生産体制は整っている状況であり、サンプルの出荷にも対応可能としている。
◆三洋貿易
100以上ある同社自動車チームの取扱製品の中から、スウェーデンの車載用空気清浄機メーカー「Cabin Air(キャビンエアー)」社の車載用空気循環システムなど7つのソリューションを紹介した。
キャビンエアーは帯電によるフィルタリング機能を搭載した車載用空気循環システム。帯電によるフィルタリングにより、小さい粒子の空気清浄において高いフィルタリング性能を有している。また、一般的な車載用空気清浄システムと異なり外気を取り込んで空気清浄を行うため、CO2やVOC、ウイルスの除去も可能としている。既にボルボ社の量産車両に多数搭載されており、日本市場での拡大を図っていく方針。
◆コンチネンタルオート モスモビリティジャパン
米国のLiDAR(ライダー)ソリューション企業「AEye」と共同で出展をした同社は、両社が共同開発した長距離ライダー「HRL131」を出品した。
ライダーとはレーザー光を使用したセンサー技術のことで、レーダーやカメラによるセンサーと比べて天候や暗さなどの環境条件に性能が左右されない特徴を有しており、今後自動運転技術においてレベル3を超えるレベル4・レベル5を達成するにあたって重要な技術であると注目を集めている。HRL131はAEye社独自の技術である4Sightを搭載しており、車速に合わせてレーダー機能が最適化された状態に自動的に切り替わるため、安全な運転に必要な情報を取得できる。
◆藤倉コンポジット
CFRPとゴムとの同時一体成型技術による成型品など、同社が独自技術を持つ炭素繊維強化プラスチック(CFRP)関連製品を多数出展した。
同社のCFRPとゴムの同時一体成型技術による成型品は、ゴムの振動減衰機能をCFRPに付与するため製品の騒音低減に寄与できる。また、同時一体成型であることから、工程の削減による環境負荷の低減も期待できる。自動車のルーフ・ボンネットやバッテリーケース、EVモーター部材などでの用途展開を想定しており、今後は拡販に注力していく。
◆三昌工業
自動車用、産業機械用、工業用などの工業用ゴム製品を材料・製品の開発・生産・販売まで一貫して展開している工業用ゴム部品メーカーである同社は摺動性ゴム材によるOリングやマグネット入りゴム製品等を展示した。
同社の摺動性ゴム材料はNBR・CR・EPDMを原料としたノンシリコンによる配合を特徴としており、材料によって摺動性が向上しているため表面処理の摺動性ゴム材のような摩擦によるはがれ等の心配をすることなく使用できる。すでにモデルガンメーカー「KSC」社製のモデルガンの部品として使用されている。
◆クラレ
スチレン系エラストマー「アーネストン」振動減衰グレード各種シートやなどを展示した。
アーネストン振動減衰グレードは自動車走行時の騒音や振動の低減に効果を発揮するスチレン系熱可塑性エラストマーで、振動を熱に吸収する特性を有している。また、メッシュフィルム、シート、不織布、発泡シートなど使用箇所や目的に適した多様な形状での提供も可能としており、設計の自由度の拡大にもつなげられる。
◆ダウ東レ
シリコーン合成皮革「LUXSENSE」を使用した自動車シートやセルフシーリングシリコーン「SILASTIC」などの製品を紹介した。
ラクスセンスはシリコーンを原料にした合成皮革で、ポリウレタン原料の合成皮革と比べて耐候性や低臭性に優れている。また、DMF(ジメチルホルムアミド)や溶剤、可塑剤を使用していないことから、低環境負荷素材としてサステナビリティへの貢献も期待できる。 また、会場には同社が材科学パートナーを務めるジャガーTCSレーシングのレースカーのモックアップも展示し、注目を集めた。
◆日本ケミカル機器
岡山県倉敷市に本社を構え、ゴム材や樹脂材の超精密加工を得意とする同社は金型不要で柔軟な素材でも切削加工が出来る切削加工技術をPRした。
同社の切削加工はゴム業界では初の導入となる5軸CNCルーター機を活用しており、蛇腹加工や自動車ギアフォルムへの加工など困難とされる切削加工にも対応出来る。埼玉県富士見市に支店があることから、関東圏の顧客との顔を合わせる形での商談にも対応ができる。品質管理についても生産者・生産日などの情報をデータ上で一元管理を行っているため、高い水準を誇っていることも特徴とした。