前回に引き続き台湾のゴム事情です。今回の中国・台湾関係を台湾ゴム機械会社の社長に聞くと、中国はいろいろなことを言ってくるが、実際には台湾に侵攻することはないであろう。実際紛争や戦争になったら、中国が負う痛手の方が多く、中国政府もそれはわかっているので、実際の戦争にはならないであろうとのこと。もちろん多くの台湾人は中国が台湾に武力行使した場合には、「台湾を守る為に戦う。」と考えています。中国が台湾に侵攻した場合、当社を含め、日本のゴム産業は大きな問題になります。中国現地の日系工場をどうするか?駐在員は引き上げるのか?現地の工場は現地企業に引き渡すのか?さらに原材料の中には中国で製造し輸入しているものも多く、それらのサプライチェーンが止まってしまいます。
この台湾ゴム機械会社は中国にも工員200名ほどの大きなゴム機械工場を持っています。そこでは中国内のゴム会社向けに精練ゴム機械・成形ゴム機械を製造販売しています。当社関連の加藤産商の中国ゴム練り工場でもこの会社のニーダーミキサー・ロールを採用しています。
この台湾ゴム機械会社の社長によると、中国での物価、人件費がこの10年間上がってきており、中国工場で製造しても、台湾工場で製造しても、総コストがかつては30%程度中国製造の方が安かったが、現在ではその差は10%程度になってきており、中国工場で製造するメリットがあまりない。また、中国は税務・環境規制がその時の政府の意向で、くるくる変わるので、安心して経営できない。難しい国だ。さらに中国が台湾に侵攻した場合、自分たちの台湾資本の中国工場はどうなるかわからない。と話していました。
仲間の台湾中堅機械会社には、製造拠点を中国から他のアジアの国に移動させる会社もあるとのこと。台湾の会社も中国リスクを感じています。まさに世界最大手の半導体製造会社の台湾TSMCが、中国工場拡張でなく、新工場を日本や米国に作ろうとしているのと同じです。中国市場向けの中国工場であればいいが、安く作って世界に輸出するのであれば、中国以外に工場を作るべき。タイ、ベトナムあたりがいいか。またインド市場は難しい。すでにインドにはゴム機械会社がたくさんある。もっとも今ある中国の工場を閉鎖するのはもっと難しいとも言っていました。加藤はこれらに全く同感です。
今回は中国・台湾の関係を考えさせられる台湾出張でした。
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