三菱ケミカルグループは1月27日、同社および三井化学が、社会・産業の基盤である化学品物流の標準化・効率化に向けた共同検討を開始したと発表した。両社は、早期に着手可能なテーマは2022年度内から段階的に実行し、同様の課題を抱える化学業界の物流分野において、会社の枠を超えて横断的な取り組みをリードしていきたいとしている。両社はこれらの取り組みを通して、持続可能かつ強靭な化学品物流の実現を目指していく。
近年、新型コロナウイルス感染症の拡大や自然災害の多発を背景に、安定したサプライチェーン構築の重要性が広く認識されるようになっている。こうしたサプライチェーンを支える物流業界は、小口貨物を中心とする消費財物流が増加する一方で、ドライバーや船員の高齢化、人手不足を背景に、逼迫した状況が続いている。さらに「物流の2024年問題」も加わり、将来における物流の輸送・保管能力不足は、両社の事業運営にとって、極めて重要な課題の一つとなっている。
両社が2022年度内から検討、段階的に実行していくテーマとして、次の4つが挙げられている。
①中京エリア内および他エリア向けの共同輸送
両社の事業所・工場が立地する中京エリアで出荷製品を集約し、同エリア内および他エリアへの輸送を共同化する
②輸送ネットワークの相互活用
主に中小口貨物について、三菱ケミカルグループの西日本~関東エリアの輸送ネットワークと、三井化学の東北エリアの輸送ネットワークを相互に活用する
③内航船の共同利用
ケミカルタンカー(液体化学品輸送船)の貸し借りおよび積み合せを行い、積載率向上、BCP確立を図る
④輸送ルート・マッチングツールの活用による共同物流案件の拡大
貨物と車両の最適な組合せ(マッチング)を両社での試験運用から開始し、将来的には多数企業とのマッチングへ展開する
また、共同物流の推進に不可欠となる、化学業界における物流の標準化・情報基盤整備に関しても、両社がともに参画しているSIP地域物流ネットワーク化推進協議会の活動を通じて、国、自治体および業界団体等と連携しながら取り組む予定となっている。