三洋化成工業は2月1日、生分解性、潤滑性に優れる水溶性ポリアルキレングリコール(PAG)系潤滑油基剤「エクセビオール」を開発したと発表した。
これまで、潤滑油基剤において生分解性、潤滑性、水溶性を同時に満足させることは困難だったが、同社はこれまで蓄積してきた知見を活かし、これらの機能をすべて満足させる組成設計に成功した。
潤滑油は、金属部品同士の摩擦を低減し、機械の運転を円滑にするために使用される油で、最近は地球環境問題の関心の高まりとともに、潤滑油にも潤滑性能だけでなく環境性能が求められるようになってきている。中でも、潤滑油が自然環境に漏洩する可能性のある用途を中心に、環境負荷が少ない生分解性潤滑油の使用が各国で推奨あるいは義務付けられてきている。しかし、従来主流であった鉱油系の潤滑油は生分解性がなかった。生分解性潤滑油にはPAG系や合成エステル系潤滑油があるが、潤滑性、水溶性など他の性能を同時に満足させることは困難だった。
同社は、強みである界面制御、高分子設計、アルキレンオキサイド付加物(AOA)製造の3つの技術を駆使することで、生分解性、潤滑性、水溶性のすべてを満足させるPAG系潤滑油基剤「エクセビオール」の開発に成功した。
「エクセビオール」は生分解性を有しているため、自然環境に漏洩した場合でも環境にやさしい潤滑油を作ることができる。水溶性が高く、水と容易に混合し、経時的に加水分解することなく、均一液状を維持できる。油膜を作らないため、自然環境に漏洩した場合にも油膜による河川、海洋汚染や草木などへの周辺汚染がない。また、優れた潤滑性能を有しており、ユーザーニーズに応じて粘度特性をカスタマイズすることが可能なため、様々な用途における潤滑油基剤として有用となる。
同社は今後、風力発電機などの海洋エネルギー関連やスクリュー等船舶の動力源、農機、建機など、屋外で使用される用途を中心に用途開拓を進め、環境負荷の低減に貢献していくとしている。