豪州エンシャム石炭鉱山 出光興産が権益譲渡

2023年02月09日

ゴムタイムス社

 出光興産は2月3日、同社が100%出資する出光オーストラリアを通じて権益を保有する豪州エンシャム石炭鉱山の全権益を、Sungela Pty Ltdに譲渡することに合意し、売買契約を締結したと発表した。
 今後は譲渡完了へ向け具体的な手続きを進めていく。同社は、エネルギーを安定供給する責務を果たしながらカーボンニュートラル社会の実現に貢献するため、2030年ビジョンとして「責任ある変革者」を掲げている。
 また、昨年11月16日に公表した中期経営計画(2023~2025年度)において、2050年ビジョン「変革をカタチに」を新たに設定した。
 化石燃料資産の圧縮・既存事業の収益最大化による資本効率化とカーボンニュートラルに資する新規事業の拡大により事業ポートフォリオ転換を進め、サステナブルな成長を目指している。
 新たに設定したビジョン・方針のもと、今般、石炭の代替燃料としての出光グリーンエナジーペレットの事業化推進と同時に石炭事業の構造改革の一環としてエンシャム石炭鉱山を売却すると発表した。
 石炭事業の構造改革の主な戦略としては、①競争力の高いボガブライ鉱山の活用による国内需要家を中心とした安定供給の継続と収益の最大➁インドネシアマリナウ鉱山 (22年3月売却済)および豪州エンシャム鉱山の売却③既存の事業基盤を活用した新規事業の展開(鉱山跡地を活用した再生可能エネルギー、石炭採掘技術を生かしたレアメタル開発等)となる。
 同社が権益を保有する豪州の石炭鉱山は、マッセルブルック鉱山の終掘(22年12月)、エンシャム 鉱山の譲渡により、ボガブライ鉱山のみとなる。
 当該鉱山の操業を通じ、今必要なエネルギーの安定供給の使命を果たしながら、同社が長年豪州で培ってきた経営資源を最大限活用し、将来需要伸長が見込まれる再生可能エネルギー、レアメタル、水素・アンモニアなどの新規事業への移行を推進していく。
 なお、譲渡価格は譲渡日時点で支払う一時金340百万豪ドルおよび 2023・2024年にエンシャム鉱山から販売する石炭の価格・数量に応じた条件付き事後払いで構成する。従って、最終的な譲渡価格は変動するが、本譲渡による同社連結業績への影響は軽微となる。

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